
[Verse 1] 赤ずきんが森の小道を歩いていました。 そこでオオカミが聞きました。「どこへ行くんだい?」 すると、「この先のおばあさまのおうちよ」と、赤ずきんは指をさします。 「気をつけて行くんだよ」。そう言い、森へ消えたオオカミは先回りして、おばあさんを丸飲みに。後から来た赤ずきんもパクリ。 大いびきが聞こえる家。猟師が寝ているオオカミのお腹を裂いて、ふたりを助けたのでした。 猟師がつぶやきました。「おばあさんも災難だったね。オオカミに襲われるなんて。たまたま孫が来る日だったなんて」 [Chorus 1] 赤ずきんは泣きながら言いました。「わたしが教えちゃったの。おばあさまのおうちも、わたしがいまから行くことも」。猟師は言いました。「オオカミは、たまたまここに来たんだ。いいね」。森を追われ、さわを追われたオオカミに猟師は黙り、森も黙るしかありません。 [Verse 2] 春が過ぎれば、アリは働きます。 えっほえっほと食べものを運びます。 晴れた日も、雨の日も、長い列が続きます。 そのそばでは、キリギリスがバイオリンを弾いています。朝も昼も、夕暮れまでも。 季節はめぐり、冬になって、キリギリスは困りました。 食べ物もなく、寒さをしのぐ場所もない。ついにはキリギリスは命を落としてしまうのでした。 アリくんがつぶやきます。「キリギリスくんは残念だったね。ひとりぶんの食べ物があれば。自分の隠れる場所さえ見つけてたら」 [Chorus 2] あの音色は、誰にも届かなかったのでしょうか? あの旋律に振り向いて、麦を落としたアリもいたかも…。足どりが軽くなったアリもいたかもしれない。 その喜びは、誰の収穫として数えられたのだろうか。 らー ららら らー 雪の下では、あのメロディが囁かれている。 [Verse 3] ネズミがあふれるハーメルンの町。 困った人たちは呼びかけます。 「ネズミを退治してくれたら、たくさん謝礼を支払います」。 そこへひとりの男が現れ、不思議な笛を吹いて、ぞろぞろとネズミたちは川の底。町の人たちは大喜び。 しかし言うのです「「ネズミなんかに、タイキンなんて払えない」。 夜中にかすかな笛の音色。大人たちは次の日、子どもたちが街から消えていることに気づくのでした。 [Chorus 3] 丘の向こうから聞こえてくる。 「私が腹いせに誘拐ですって? いえいえ、報酬をいただいただけです。だいぶサービスもしておきましたよ」と。 ネズミが消え、子どもも消え、町は静かになりました。 広場には、もう誰もいない。 [Bridge] 物語とは誰かの手で形が整えられたものなのだろう。分かりやすく、伝わりやすく……… でも、そこで描かれなかった出来事、感情はどこへ行ったのだろう? 霞の向こうか、石の下か、月の裏か…あるいは心の奥底かもしれない…。 [Outro] 全てが伝わる世界は幸福だろうか、不自由だろうか…。 理解してくれとは言わない。だが、誰もが夢見ることだろう。 しかし、私は… 私のなかの何かを座敷牢に閉じ込め そこから世界を眺めている…。 咀嚼音が… 響いて… いる… 居る。

