
[Voice: Deep emotion, touched, slower cadence] テープの最後の夜、宗一さんは息も絶え絶えになりながら、マイクに向かって掠れた声でコールサインを呟いていました。 『CQ、CQ……こちら、星を見失った迷子。応答願います。……千代、今夜の空は、とても澄んでいるよ』 誰にも届かない周波数に向けて、彼は毎晩、妻への許しと呼びかけを電波に乗せていたのです。 怒鳴り合うことも、手紙を書くことも不器用でできなかった男が、生涯で唯一知っていた言葉の届け方。 それが、この微弱な電波でした。

