
午前二時 自販機の前 ぬるい風に髪が踊った 「何してんの?」 「別に、散歩」 どう見たって嘘だろ、それ 眠れない理由なんて 聞かないでよ 面倒だから じゃあ聞かない ……ほんとに聞かないの? どっちなんだよ 似てない僕らが 同じ夜に迷って 右へ行く 左へ行く なのになぜか隣にいる ねえ 朝まで逃げようか 行き先なんてなくていい くだらない話で笑えたら 今日くらい負けてもいい ねえ 答えはまだいらない 正しい名前もいらない 君は君で 僕は僕で それでも隣を歩いてる 「優しいね」って言ったら 「今さら?」って笑うから ちょっとムカつく でもその顔 嫌いじゃないのがもっとムカつく 赤信号 誰もいない 渡らない君を見て笑った 変なとこ真面目だな うるさいな 君も止まってるじゃん 似てない僕らの 歩幅だけ重なって 言えないこと 言わないこと 夜のポケットに詰め込んだ ねえ 朝まで逃げようか 昨日なんて置いていこう 格好悪いまま笑えたら それくらいで十分だろ ねえ 答えはまだいらない 約束なんてしなくていい 君は君で 僕は僕で 気づけば同じ空を見てる 「ねえ」 「ん?」 「明日になったら忘れて」 「無理」 「即答すんな」 「じゃあ三秒考える」 「そういうことじゃない」 ……ばか。 空が少し青くなる 夜が僕らを返してく 何も解決してないのに 昨日より少しだけ軽い 朝まで逃げてきた僕ら 結局どこにも行けなかった それでも笑っているなら 悪くない夜だったよな 答え合わせは夜明けに 間違ってても構わない 君は君で 僕は僕で 同じ朝へ歩いていく 「また今夜?」 「……気が向いたら」 「それ、来るやつじゃん」 「うるさい。」

