平成生まれの老兵らが 湿気た無理を蒸かして笑えば 先客達は皆 あの頃に酔ってる あぁ、10代の夜を搾ったような カクテルを頼む ふいに訪れる独りの時間 持て余す中年の寂しさに 20代の感性の亡骸を見つけたような 喪失をしんと感じた 楽しさは記憶の中だけ あの頃の全能感 自立をもって生えた翼に 吹きすさぶ風 はどこか遠くのいつか見た名も知らぬ町の風景のように思い出せない 今以外のことは今以外に考えればよかった ただ音楽を鳴らし踊っていればよかった そこで生じた負債も不調も 簡単に精算できた むしろその代償すらも 湧き出る活力の底を 推し量る座興と化していた 酒のなみなみ入ったグラスへ コインを落として 張り詰めたマクの揺らぎを楽しんでいた 今日と明日は地続きではなかった 何においても"今日"が一番重要で 代え難き楽園 乗り遅れられぬ船だった  無数の今があり その先には枝分かれした無数の今が来ることを予感していた ただ身を委ねるだけでよかった しかし中年に"今"は無い 無いのだ 予定に沿って身を傾け 確保した未来をなぞる 積み上げた不揃いの昨日と明日が 崩れぬように  その上にまた明日を積み置く その調和に生と安心を見出すのだ 故に突如目の前に"今"が現れたとして 為す術なく途方に暮れてしまうのだ 「もう音楽は鳴らない」 息切れを起こさぬように 腰を重くする一方だ さぁ、ネトフリをつけて柿ピーを食べよう