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託されたもの【装甲戦士ガルド15】

V5.5

[Intro] 静かな光に 包まれて 何もない 空間で [Verse] 声が聞こえた 優しい響き どこか懐かしい ぬくもりだった 知らなかった 本当のこと すべてが つながっていく [Pre-Chorus] ひとつだったものが ふたつに分かれて そして今 ここで出会った [Chorus] もしこのまま 戻れなくても それでもいいと 思えたんだ 守りたいものが ここにあるから すべてを 使うと決めた [Verse 2] 本当はまだ 怖いまま すべてを捨てる わけじゃない でもこの力に 意味があるなら 逃げることは できなかった [Pre-Chorus] 選ばれたこと 理由はなくて それでも ここにいるなら [Chorus] この命の意味は 自分だけのものじゃない 誰かのために 使うもの ひとつになって 消えてしまっても それでも かまわない [Bridge] あの日の声が 胸に残る 「無茶はしないで」と それでも僕は 進むと決めた もう戻れない [Build-Up] 守るために すべてを [Final Chorus] もしこの先で 何になっても それでも僕は 歩いていく ひとりじゃないと 知ったその日に すべてが 答えになった [Outro] 光の中へ 溶けていく [Ending] それでも進んでいく 【Episode Story】 【第15話・託されたもの】 衝撃。主人公の視界が弾ける。体が浮く。――そのまま、落ちる。オルディアの王から受けた攻撃に意識が遠のく。暗闇。何もない。どこまでも深く沈んでいく。――そして、主人公の目に広がったのは青白く静かな空間。重さが消える。 「……ここは」声がやけに響く。現実ではないと、直感で分かる。そのとき、背後から、落ち着いた声。 「……気がつきましたか」主人公が振り向く。 そこに立っていたのは――黒髪の少年。顔立ちも、雰囲気も。あの青髪の少年と、よく似ている。だが、決定的に違う。静かだ。穏やかだ。敵意は感じられない。主人公は一歩だけ距離を取る。 「……君は誰だ?」少年はわずかに目を細める。 「そうですよね。いきなりでは」少し困ったように笑う。 「僕は――あなたの中にいた存在です。オルディアの王と呼ばれた弟みたいな存在です」一拍。 「ずっと、呼びかけていました」 主人公の表情が揺れる。 「……俺の中に?」 少年は頷く。 「はい」 「あなたが、兄と接触したことでやっとこうして話せました。」視線をまっすぐ向ける。 「あなたを巻き込んでしまったこと、本当に、申し訳ないと思っています」静寂。主人公は黙ったままこの状況を飲み込もうとしていた。 少年は静かに息を吐く。 「僕達のこと、今起きていること、順番に話します」空間に、淡い光が浮かぶ。 「オルディアは、もともと肉体を持たない一つの存在でした。人類の言葉でいえば『魂』といった存在でしょうか。」光がひとつ、漂う。 「人類が生まれる前から…。この星を、ただ見続けていました」 「意志も、感情も、ほとんどない。ただの観測者でした。」 光が揺れる。 「そして、あるときです。一つだったオルディアは僕と兄の二つに分かれました」光が、二つに分かれる。 主人公が静かに呟く。 「……兄弟」 少年は頷く。 「そうです。そして、長い長い時間が経って、人類が生まれました」 空気が少し変わる。 「感情を持ち、考え、文明を築く存在。これまでの生命とは違う」 少年の目がわずかに柔らぐ。 「僕には、とても輝いて見えました。僕は人類に会いたい、近づきたいと、思ったんです」一拍。 「でも兄は違いました」声が少しだけ低くなる。 「感情に振り回される、不完全な種だと」少し間を置く。 「あるとき、兄が言いました。自分たちも肉体を持つべきだと」 主人公はじっと聞いている。少年は続ける。 「僕は人類と関わりたかった」 「でも兄は、利用しようとした」空間に映る。人類と光の塊が対話する光景。 「僕たちは、人類に干渉しました。いわゆる神託のような形で…」 「様々な技術を与えて、一緒に文明を作ったんです。人類からすれば、僕達が接触してきたのはまさに異界からの交信だと感じたのではないでしょうか。」 主人公が言う。 「その技術の一つが、……ガルドシステム」 「はい」少年は頷く。 「感情を増幅して、精神を物質化する装置。肉体を得るための仕組みです」 光が形を持つ。幼い姿。 「当時の人類の協力も得られて僕たちは肉体を得ました。ですが…」少し苦笑する。 「感情の理解が未熟すぎて、兄も僕も子どもの姿にしかなれなかった」 一拍。空気が変わる。 「しかし、肉体を得た兄は言い放ちました」 主人公の視線が鋭くなる。 「人類はもう必要ない。この星は自分のものだと」 「壊すことに、意味を見出すようになった」静かな怒り。 「兄は自分の精神を分裂させて、その分けた精神体にガルドシステムを使って肉体を与えた」 歪んだ影。主人公が低く言う。 「……あの連中か」 「はい。それがオルディアの軍勢です」 一拍。 「ですが、あれは失敗なんです。あなたも見たでしょう。あの恐ろしい姿を。感情というものを理解できず力だけが暴走した存在になってしまったんです。」 主人公の拳がわずかに握られる。少年が続ける。 「だから兄は求めました」 主人公を見る。 「『完全なるガルドシステム』を。感情を制御できる存在を。それがオルディアの目指した上位の存在でした」 少年は、少しだけ視線を落とす。 「……僕は、人類が好きでした」静かな声。 「兄の考えには、どうしても賛同できなかった」一拍。 「だから――戦いました」 主人公は黙って聞いている。少年は続ける。 「ガルドシステムを応用して、装甲をまとい、兄と、その軍勢と戦ったんです」 空間に一瞬だけ、過去の戦いの残像が走る。 「当時の人類は、僕のことを」少しだけ照れたように笑う。 「『ガルド』……偉大な戦士と呼びました」静寂。 「ですが」表情がわずかに曇る。 「兄は強かった。軍勢も、圧倒的でした」 ゆっくりと首を振る。 「僕の力では……止めきれなかった。だから、最後は自分ごと封印するしかなかったんです」 主人公の呼吸がわずかに重くなる。 「ただ、その封印も、完全ではありませんでした」 視線を上げる。 「いつか必ず、解ける。それは分かっていました」 空間に、遺跡のイメージが浮かぶ。 「だから僕はその時のために、準備をしました。誰かが、ガルドシステムを起動し兄を止める日が来るように!」 主人公の目がわずかに揺れる。少年は静かに言う。 「当時の人類も、それを理解していました。だから――『ガルド』という名を遺しこの歴史を、遺跡に刻みこみました。兄を封印するための遺跡も作りました」一拍。 「……そして」 まっすぐ主人公を見る。 「その残された遺跡の装置を起動したのが、あなたです」 静寂。主人公の胸が強く鳴る。 「あなたは、あの日、偶然にもガルドシステムを起動しました」 「兄とその軍勢が目覚めた後に、たまたま、システムに触れてしまった」 主人公はゆっくり息を吐く。静寂。 「兄は、あなたを取り込もうとしています。ガルドシステムは感情を増幅し、精神を物質化させる装置です。肉体をもつ人間が使うとその精神性に応じた力を与えます。それがあの装甲です。そして、あなたはガルドシステムに適合し、ガルドシステムの覚醒も果たしました」 少年は続ける。 「兄はシステムを覚醒したあなたと一緒に、ガルドシステムに残った僕ももう一度取り込んでさらに力を得ようとするでしょう。」 主人公は少し視線を落とす。 「……そういうことか」 少年は、少しだけ表情を引き締める。 「……兄は、きっとまたあなたを狙います」静かな声。 「もう、他の人類には興味がありません」 主人公の表情が変わる。少年は続ける。 「あなたさえいればいい。そう判断しています」 空気が重く沈む。 「だから近いうちに人類そのものを排除しに動き出すはずです」 主人公の拳が、わずかに握られる。少年は視線を向ける。 「……今回、こうして会えたのも偶然ではありません。あなたが兄と接触したことで封印装置が反応し、開いたんです。その影響で、僕の意識も――」少しだけ笑う。 「ようやく、あなたと繋がることができました」主人公は黙って聞いている。少年は続ける。 「そして」 手を差し出す。淡い光が集まる。 「僕の力を、あなたに渡すこともできます」一拍。 「ただし――」少しだけ声が低くなる。 「この力を使えばあなたはオルディアの力と同化していくことになります」 主人公の呼吸が止まる。 「……同化」 「はい。僕と同化することで人間として戻れなくなる可能性があります」静寂。 少年は続ける。 「ですが、兄に勝つ方法は、それしかありません。兄は僕も倒せなかった。でもガルドシステムに適合し覚醒したあなたと一緒なら兄を倒せる可能性があるのです」 まっすぐに言う。 「兄を倒せばすべて終わります。他のオルディアは、すべて兄の分身体です。本体を失えば、全て同時に消滅する」 主人公の目が揺れる。少年は静かに付け加える。 「……以前もそうでした。僕が兄を封印したとき、他のオルディアも、一斉に封印されました」 沈黙。主人公は視線を落とす。 「……人間にはもう戻れなくなるかも、か」 誰に言うでもなく呟く。思い浮かぶ。幼馴染の顔。あの夜の言葉。 「……無茶だけはしないでね」 静かに目を閉じる。呼吸を整える。そして、目を開く。迷いは消えている。 「……それでもいい」 少年がわずかに息を止める。 主人公は続ける。 「守れるなら、全部使う!」 一歩、前に出る。 「俺にしかできないなら…。大切な人を守れるのは自分だけなら…。」 静かな決意。 少年は、少しだけ目を細める。 「……はい」小さく頷く。 「改めて巻き込んでしまって本当に申し訳ないです。でも、希望はもうあなたしかいないのです」 光が強くなる。 主人公は少年に言う。 「もし、ガルドシステムを起動できなかったらあの日、やつらに襲われた日に俺はもうこの世にいなかったと思う。大切な人も守ることができなかったと思う。ならこの力には意味があった。誰かがやらなければいけないなら、それが俺なら…やるしかないよな」 少年は静かに目を閉じて、そして微笑んだ。 「システムに選ばれたのがあなただった理由が何となくわかりました。あなたで良かった。では――あなたに僕の力を託します」 その言葉と同時に意識が、光に溶けていく――そこに決断だけを残して。