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緋色の楔(今帰仁城)

波の音さえ 遠ざかる高台 波打つ曲線 誇り高き石壁 冬の風に揺れる ツワブキの黄色 何も知らずに 季節を刻む 信じた刃が 背中をなぞる 静寂を切り裂く 鉄の響き 守るべき門は 内側から開いた 誇り高き北山 夢の跡 舞い散れ 緋色の寒緋桜よ 裏切りの傷跡を 隠すように 「滅びの美学」と笑ってみせても 瞳に映る海は 蒼く痛いほど 千代を重ねた 守護の霊石さえ 主の怒りに 裂かれた悲劇 愛したこの地を 汚すくらいなら 自ら幕を引く 王の孤独 石畳の道 露に濡れて 過ぎ去った宴を 呼び覚ます 忠義の影に 潜んだ裏切り 歴史の淵で 誰が泣くのか 散りゆけ 鮮やかなさくら 崩れゆく王国を 抱きしめて 震える調べよ 闇を照らせ 絶望の先に 明日を灯して 形あるものは いつか潰える けれどこの石垣 語り続ける 裏切りの痛みも 散った命も すべて呑み込んで 凜と立つ 舞い散れ 緋色の寒緋桜よ 裏切りの傷跡を 隠すように 「滅びの美学」を胸に刻んで 今帰仁の空に 永遠を祈る ツワブキの花が 揺れる石壁 遠き日の声が 風に溶けてゆく