[Intro] 街灯が白く滲む さっきまで隣にいたはずなのに [Verse] 名前を呼んだ 帰るはずの距離で 夜だけが黙ったまま 答えを隠す 胸の奥で 何かが外れる音 触れるなと言い聞かせた 線を踏み越える [Pre-Chorus] 奪われたのは 時間か笑顔か それとも 戻れない俺自身か [Chorus] 返せと叫ぶ声が 黒く形を変えていく 守るためと言い訳して 壊してしまいそうで ただここにいる それだけが許せない この感情が 俺を呑み込んでいく [Drop] 何かが笑っている 俺の姿を見ながら 近づいてくる それが分かってても 止まれない 黒く染まる 戻れない 戻れない でも手を離せない [Verse] 視線の外で 何かが微笑んでいる 怒りを数えるほど 近づいていく 手を伸ばせば 届く距離なのに 触れた瞬間 もう戻れない気がした [Pre-Chorus] 震えているのは この手か心か 分からないまま 前に出るしかない [Chorus] 駄目だと願う声が 闇に呑み込まれていく 守るためのこの力が 誰を壊すのか 答えなんて ここにはなくて ただ身を任せるしかない もう引き返せないのか [Build-Up] 知らない自分が そこに立っている でも手には まだ守りたいものがある この感情ごと 受け入れるしかないのか それとも―― まだ選べるのか [Drop] 返せと叫ぶ声が まだここで響いてる 正しさを失くしても 手放せないものがある それが 資格だと言うなら この先に 何が待っていても 俺は俺でいたい 黒く染まっても この声が消えるまで 叫び続ける [Final Chorus] 守りたくて 壊しそうで それでも手を伸ばす これが俺だ 夜はまだ 終わらない… [End] 【Episode Story】 【第9話・試される資格】 夜の商店街は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。シャッターの降りた店先、街灯の白い光、遠くを走る車の音だけが、ゆっくりと流れていく。主人公は、買い物袋を提げた幼馴染と並んで歩いていた。「今日は助かったよ。重いのばっかでさ」他愛もない会話。いつもと変わらない帰り道。戦いの後も、世界は何事もなかったかのように続いている。 幼馴染の家が見えてきた、その時だった。 「……あれ?」ほんの一瞬、視線を外した隙に、隣を歩いていたはずの幼馴染の姿が消えていた。 名前を呼ぶ。返事はない。夜の住宅街に、不自然な静けさが広がる。 その頃、数ブロック離れた場所。記者は、半ば直感に突き動かされるように、主人公の行動範囲を辿っていた。ふと足を止め、周囲を見渡す。 「……なにかいる?」空気が変わった。肌を刺すような、異質な感覚。記者は、嫌というほど知っている。以前と同じ異形の存在と遭遇した事件と同じ、始まりの気配だった。 主人公は、走っていた。「どこだ……!」街灯の届かない路地。その奥で、ようやく異変の中心を見つける。 意識を失い、地面に横たわる幼馴染。そして、その傍らに立つ存在。 オルディア。人の形をしていながら、決定的に人ではない。オルディアの視線が、主人公を捉える。 「ようやく来たか、ガルド」その一言で、主人公の中で何かが弾けた。 「……返せ」低く、震える声。怒りと恐怖が、限界を越えてせり上がる。 オルディアは、薄く笑う。 「そんな顔をするな。まだ壊してはいない」 「お前が来るまで、待つつもりだった。主役不在の実験ほど、つまらないものはないからな」 「ふざけるな……!」 「ふざけてはいないさ」オルディアの視線が、主人公を値踏みするように走る。 「お前は、力を得た。だが――それだけでは、次の段階には行けない」 主人公の拳が、強く握りしめられる。 「感情を抑え続けた結果が、その歪みだ。怒りを解放した時、お前の力は完成する」 その光景を、記者も見ていた。 「……怪人が、人間に話しをしている?」理解が追いつかない。だが、近くにいる女性の危機だけは、はっきりと分かった。 「くそ……!」考える前に、身体が動いていた。記者は、オルディアに向かって駆け出す。 「その娘を放せ!!」体当たりするように、記者が幼馴染を庇う。 オルディアは、ちらりと視線を向けただけだった。 「人間か。……勇気は認めよう」次の瞬間、軽く振るわれた腕。記者の身体は宙を舞い、地面に叩きつけられる。 「だが、介入は不要だ」転がりながら、記者の視界に映ったのは―― 主人公の、歪んだ表情だった。 「……もう、やめろ」それが誰に向けた言葉なのか、主人公自身にも分からなかった。 次の瞬間、変身が始まる。怒りに引きずられるような、荒々しい変身。 装甲に黒い光が走り、軋む音を立てて装着されていく。重く、歪んだ装甲。 いつものガルドとは、明らかに違う。 記者は、息を呑んだ。 「……あれが……」 オルディアは、その姿を見て、満足そうに頷く。 「それでいい」黒いガルドを、まっすぐ見据えながら続ける。 「その力だ。その力を解放すれば我々は上位の存在に到れる!」 ガルドの拳が、震える。怒りが、すべて黒い光に変わっていく。 「さあ、見せてくれ」オルディアの声が、静かに響く。 「ガルドシステムの覚醒を!」 ガルドから発せられる黒い光が、さらに強く脈動した。 ——その先に待つものを、誰も、まだ知らない。



