
僕は皆から変な奴だと思われている。 落ち着きがなくて、コソコソしている。 怯えて、オドオドしている。 犯罪者のような印象を与えるらしい。 実際、ただの犯罪者になりたいと思う。 自首するだけで済むなら気楽なものだ。 誰かに追われているというわけではない。 付きまとわれているだけ。 ただ見られているだけ。 朝から晩まで、寝ても覚めても。 誰から? きっと信じてもらえないだろう。 見ているのは猿だから。 そう。 猿芝居の猿。 ほら。 君も変な奴だと思っただろ? でも、僕が猿から見られているのは事実だ。 どこにいるって? ああ、今はわからないな。 あいつは他人がいると姿を隠してしまうから。 でも、いつもこっちを見ている。 猿まねで変装したり、望遠鏡で覗いたり。 僕がひとりなら堂々と姿を現すくせに。 寝室とかトイレとか、墓地とかでね。 いかにも軽蔑したような目で。 歯ぐき丸見えの裂けるほど横に伸びた口で。 あいつは顔に似合わず狡猾だ。 捕まえようとしても必ず逃げられてしまう。 幻覚じゃない。 家族にも見えるのだから。 おかげでホームレスさ。 恋人にも見えた。 途端に恋は破れたけど。 無理もない。 四六時中いつも猿に見られていてはね。 しかし、なんなのだろう? あの猿は。 あの猿の目は。

