
『音の跡』へようこそ。 現場調査員の、陳予安(ちん よあん)です。 今夜、私の机の上に置かれているのは、海水で激しく腐食した手のひらサイズの金属ケースです。 それは三年前、太平洋沖で沈没した海洋調査船の観測ブイから回収された、非常用データロガーでした。 乗組員の大半は救助されましたが、主任研究員の神崎博士だけが、浸水する船内に残り命を落としました。 遺族へ返還されたこの記録装置は、塩分で回路が固着し、完全な沈黙を守っていました。

『音の跡』へようこそ。 現場調査員の、陳予安(ちん よあん)です。 今夜、私の机の上に置かれているのは、海水で激しく腐食した手のひらサイズの金属ケースです。 それは三年前、太平洋沖で沈没した海洋調査船の観測ブイから回収された、非常用データロガーでした。 乗組員の大半は救助されましたが、主任研究員の神崎博士だけが、浸水する船内に残り命を落としました。 遺族へ返還されたこの記録装置は、塩分で回路が固着し、完全な沈黙を守っていました。
