
朝焼けがビルの隙間でほどけていく 昨日までの歓声が砂になって舞う 笑えば笑うほど遠くなる影法師 鏡の奥で誰かが僕を真似している 手のひらに残る熱も 名前のない風に変わる 届きそうで届かないものばかり 抱えたまま息をした 「幸せでしょう?」なんて 誰も悪気はないまま聞く 頷くたび少しずつ 僕だけが置いていかれた ねえ この人生を見てくれよ 綺麗に飾った額縁の向こう 拍手の音が響くほど 静けさだけが胸を満たす 星を集めて夜を飾っても 眠れない朝は変わらない 僕の輪郭をなぞる指は いつだって僕じゃない 季節だけが正しく巡っていく 信号は青へ変わるのに 立ち尽くした足元で 昨日の僕がまだ手を振る 失くしたものを数えるたび 増えていく空白の地図 辿り着いた場所に立っても 帰る場所だけ見つからない もし全部燃えて灰になれば 風は僕を運んでくれるかな 名前も夢も傷跡さえも 光の中へ溶けてしまえばいい だけど耳の奥で 小さな鼓動がまだ鳴っている 終わらない歌みたいに ねえ この人生を見てくれよ 崩れかけた景色の真ん中で 誰にも届かない声だけが 今日も僕を生かしている 空っぽの掌を広げたら ようやく風に触れられた 明日が僕を忘れてもいい 僕は僕を忘れない 消えない輪郭を抱いたまま また朝へ歩いていく

