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Alley Bar №87 Act.3

V4.5+

俺のグラスの氷が、静かに音を立てた。 ラフロイグの香りが、わずかに立ち上る。 女が入ってきて、ひとつ空けた席に腰を下ろす。 濡れた髪から、夜の匂いが漂ってくる。 バーテンが軽くうなずき、カウンターの奥へと動いた。 タンカレーのボトルが持ち上げられ、 ライムの酸味が、微かに空気に漂った。 銀のシェイカーが、氷とともに静かに振られる。 その音がジャズと混じり、この夜に必要なだけの緊張を生む。 差し出されたグラスを、彼女は手に取る。 そして、覚悟を決めたように、一息で飲み干した。 まるで、何かを終わらせるように・・・ ギムレットの酸味だけが、その場に静かに漂った。 沈黙が続く。。俺は黙っていた。 この街で、言葉は時に命より重い。 ジャズのリズムが、少しだけ速くなった気がした。 何かが動き出す、そんな嫌な予感がする。 バーテンが、空になったグラスを静かに下げた。 彼女は目を伏せたまま、何も言わない。 その沈黙が、何を意味するのか。 なぜか言葉よりも重く感じられた。 俺は、ラフロイグをひと口だけ飲んだ。 潮の香りが、古い記憶を引きずり出す。 似たような夜を、俺は何度もくぐり抜けてきた。 ただ、今夜は少し違う気がした。 長い夜になりそうだ…