
あつもり~源平合戦・平敦盛の最期~
[Intro] ときは 源平合戦 一ノ谷 近く 海辺の戦いにて 源氏側 熊谷次郎直実は 若き 平敦盛を討ち取るも その深き 悲しみ故 仏門に入る その有様を 今に語らん [Verse 1] 一ノ谷の 合戦は 源氏の 奇襲 激しく 平氏は 乱れ 散り散りに 大将も 船へ 逃げる [Verse 2] 直実 西の城門を破ると 沖へ向かう 武者を 見つける 高貴な兜 まとい ただ一騎で 馬を泳がせる [Verse 3] 「敵に後ろを 見せるなよ 卑怯な振る舞い 戻りなされ」 直実 扇を 上げて 呼び返すと 武者も応じる [Verse 4] 波打際に 馬を並べ 組み伏せ 砂浜に 落とすと 直実 武者を 押さえ込み 兜を跳ね上げ 驚く [Verse 5] 年の頃 十六、七 直実の我が子と同じくらい その容貌 誠に麗しく 刀をどこに刺せばよいか [Verse 6] 「名乗り下され」 と 問えば ただ「首取りて 人に問え」という 直実 その言葉に打たれ お助けしたい と刃 止める [Verse 7] 今日の先陣争いで 我が子が 浅い傷を負った それさえ 自分には辛かった この武者の親は どれほど嘆くか [Verse 8] しかし、もはや 遅かった 味方が押し寄せている 他の者が斬るに違いない ならばせめて 我が手でと 涙ながらに 首を斬る [Verse 9] 首を包もうと、着物を切ると 錦の袋が 腰にあった 細長い 横笛ひとつ 直実 その手に 取り思う [Verse 10] 暁に 城門を攻めた時 心地よい音楽が 響いた 演奏していたのは この者らであったか [Chorus] 笛ひとつ 残して討たれた 敦盛 その最期 直実の深い嘆きとともに 無常なりと 語り継がれる [spoken] 人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ


