朝の光に起こされて 君の髪の寝癖だけが まだ昨日を残してる 干してあったランジェリーが 風に揺れてるのを なんとなく見てた 冷たい牛乳と 言いそびれた言葉を並べて それで今日も始まる 昨日の夢なんて思い出せないくせに 君の横顔は覚えてる 洗いざらしのシャツと あの日のままのランジェリー 何も変わらないようで 少しずつ 全部すり減っていく パンの耳を焼き過ぎて 焦げた匂いが部屋に残った しんぶんに挟まったままの広告みたいに 必要かどうかも分からないまま 君のランジェリーと 僕の手をすれ違わせて それでも何も言えなくて 昨日の喧嘩の理由もはっきりしないまま 冷蔵庫の中、卵が一つだけ 流れるラジオと 洗濯機の遠い音 君のいる部屋で 今日もまた眠れずにいる 乾かなかったランジェリー 窓際に吊るして 会いたい理由を探してしまう 君の寝癖は君だけのものだから それすら愛しいって思う すいはんきの音で目が覚めて 君はまだカーテンの向こう テーブルの上は食べかけのヨーグルトと 昨日の夜のコンビニ袋 窓の向こうで誰かがしゃべってる テレビの声とかぶる朝 干しっぱなしのランジェリーが一枚 ちょっとだけ斜めに落ちそうで どうでもいいことで笑って どうでもいいことで黙って ゴミ出しの帰り道、顔も洗わず 君は大きめのTシャツ、僕は眠そう ランジェリーの影、床に揺れてた 牛乳を切らしていたことも トーストが焦げたことももう慣れた 冷たい水で手を洗って 君と目も合わさず ラインの通知だけが小さく鳴る 脱いだランジェリー イスの背もたれ 思い出みたいにそこにあって 何も言わなくても それだけで 今日は十分だと思えた 駅までの道すがら、信号で立ち止まる 今朝も昨日も大して変わらない 「いってきます」も言わずにドアを閉めた たぶん明日も 僕らは同じ ランジェリーのことも 忘れたままで 天気予報だけ流れる部屋で 君の寝癖とランジェリー ありふれた朝が続いていく それが少しだけ嬉しい


