
線路脇に置き去りの 麦わら帽子ひとつ つばの影が揺れている 誰も拾わないまま 改札を抜けた足音 もう覚えていない あの日の振り向いた 一瞬さえ曖昧で 陽炎の向こう側 手を伸ばしたって 届かない 届かない 溶けてゆくばかり 忘れ物みたいに きみを置いてきた アスファルトの熱に にじむ約束 戻れないと知ってても 振り返ってしまう 麦わら帽子の影 まだそこにある 玄関に片方だけ 残されたサンダル もう片方はどこへ行った 問いかけても静けさ 扇風機が回る音 部屋を満たしていく きみのいない午後三時 時計だけが進む 蝉時雨が止んだら きっと気づくんだ 消えてた 消えてた 声も温度も 忘れ物みたいに きみを置いてきた アスファルトの熱に にじむ約束 戻れないと知ってても 振り返ってしまう 麦わら帽子の影 まだそこにある 夕立が 洗い流してく それでも 消えない残像 忘れ物みたいに きみを置いてきた 桟敷に残された うちわひとつ 賑わいが去った後 静寂だけが響く きみの手のぬくもりを まだ探してる 忘れ物ばかりだね ふたりの季節は 拾い集めたって もう戻らない それでもいいと言えたら 楽になれるのに 麦わら帽子の影 きみがいた証

