
改札のシャッター降りて 時計は十二時四十八分 「まだあると思ったんだけどな」 お前が笑って頭を掻く タクシーなんて乗れるほど 今日のギャラは残ってない じゃあ歩くか それしかない ギター背負って三人で 家まで何キロ? 知らねえよ とりあえず こっちだろ 終電を逃した夜 くだらない話をしながら 誰もいない道の真ん中 三人並んで歩いてる 明日のことなんて知らない 今夜のことさえどうでもいい 遠回りでも まあいいか 朝までには着くだろう 二十四時間のコンビニで 一番安い缶コーヒー 肉まんひとつを三等分 店員がちょっと笑ってた 公園見つけて座り込み ドラムはベンチで寝かけてる ベースが急に昔のこと 話し始めて止まらない あのライブ覚えてる? 客二人のやつ? 一人は店長 じゃあ客一人じゃん 終電を逃した夜 笑い声だけ響いてる 赤信号で立ち止まって 青になったらまた歩く 売れない曲が増えていって 減ってく金も笑い話 何年こんなことやるんだろう 誰も答えなかった 長い坂道の途中 誰かが急に走り出す 「おい、待てよ!」 理由なんてない 俺らも走る 終電を逃した夜 三人で坂を駆け上がる ギターケースが跳ねるたび 馬鹿みたいに笑ってる 何にもなかったこの夜を いつか忘れてしまっても あの交差点 あの坂道 たぶん歌には残るだろう 終電を逃した夜 もう空が少し白くなる 家まであと何キロ? 知らねえよ まだ歩こう ©️ytsgax

