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まだ歩けるさ

​ 朝の空気は 青く濡れて 結ぶ指先の 傷が擦れる 息を吸い込み 目を覚ます 古い記憶が 駆け巡る モノクロの稜線は 雲を流し 問いの答えは 何もない ​ 足は鉛の 重さとなり 汗は背中を 這うようで なぜここまで 来たかと思う だけど見上げれば 風の向こうに 世界は不意に ひらけて 光が胸を 撃ち抜いた ​ 画面の映像には 映らない風 火山の匂いと 石の声 山頂(そこ)にあるのは 景色じゃない 剥き出しになった 感情だ 五感が震える その瞬間 変わるのなら 自分自身だ ​ 何度来ても 祝わずに 胸の奥底に 火が灯り あたえられた 感動ではなく 選び苦しみ 掴み取る 誰の言葉も 届かない 空の深さと 水の味 ​ 山頂にあるのは 答えじゃない 生き延びたという 感覚だ やめたい気持ちを 抱きながら 高い場所へと 足が進む 見たかったのは 自分自身 この感情は 嘘じゃない ​山はただ そこにある まだ歩けるさと 風が吹く ​