名を飾るより景を残し、 褒め言葉より誰かの脳裏に居座る 手触りを欲し、まったりの皮で 執念をくるみ、冗談の煙で本気を隠し、 自由に試しても筋の一本は切らせず、 面の角度も言葉の気配も瞳の温度も 物語の息づかいも一ミリの嘘を見逃さず、 浅い没入と雑な解釈だけは どうしても許さず、自分は大層でなくていいと 言いながら作る景色には確かな手触りを求め、 神話も日常も同じ火加減で煮込み、 分かるまで、腑に落ちるまで、 何度でも世界の縫い目を編み直しつづける。 控えめな顔をした強欲な 幻境編纂狐 玄之狐