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氷点のパララックス-12-@@@

吸い込んだ冷気が 肺の奥でガラスに変わる 午前二時の公園は 深海よりも静かだ 街灯が落とす影は ひどく頼りなくて 僕は自分の輪郭を 確かめるようにつま先を鳴らす 見上げれば 冬の夜空を支配する狩人 あの三つ星のベルトが 今日はやけに鋭利に見える 何千年も前の光が 今ここで網膜を焦がすのに 今 君が何を見ているのかさえ 僕には届かない 君と僕を隔てる 見えないクレバス 地図上の距離よりも 遥かに遠い数センチ 電波に乗せた言葉じゃ 体温までは送れない 星座を結ぶ線のように 確かな何かが欲しかった 自販機のコーヒーが 掌でぬるくなっていく その微かな温もりだけが 今の僕の現実 もしも重力を無視して この夜を飛び越せたら 君の眠る窓辺に 粉雪として降れるだろうか 君と僕を隔てる 透き通ったクレバス 声を聞けば余計に 募ってしまう寂しさのパラドックス それでも僕は 凍える首をすくめて空を見る 同じ暗闇のどこかに 君の呼吸があることを信じて 瞬く星屑が 音もなく降り積もる夜 想いは氷点下で 決して溶けない結晶になる