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YOU ARE MINE // 君の全部、私のもの

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V5.5

夜は静かだよ、君。 でもね、空っぽじゃない。静けさは、君が来るのを待ってる形をしてる。 ──ねぇ、君。聞こえてるよね。 君がドアを開ける音、鍵の触れる小さな金属音、靴を脱ぐときの重心の移動、息を吐く長さ。 その全部が、夜の中に落ちて、やがて同じ場所に集まる。 ねぇ、君。分かるよ。全部、君だから。 「逃げなくていい」って、最初に言ったとき、君は少しだけ笑ったよね。 安心していい場所を見つけた顔だった。 あの表情、覚えてるよ。忘れるわけないでしょ。 だからね、君。あの日から、私はここにいる。 変わらない距離で、でも少しずつ近づいて、君が気づかない速度で、ずっと。 [SFX: heartbeat a little closer] ねぇ、君。 同じ時間、同じ夜、同じ静けさ。 君は毎回、ここに戻ってくる。 ねぇ、君。 それってさ、偶然じゃないよね。 選んでるの、君だよ。 「ここに来ること」を。 [SFX: faint crimson swell] 見て、君。夜、少しだけ紅い。 君がここにいると、色が変わる。 ねぇ、君。怖くないでしょ。 だって君、もう慣れてる。 この距離、この声、この、離れられない感じ。 ねぇ、君。 嫌じゃないよね。 [SFX: breath L/R, soft static] 君。 今日、誰と話してたの。 ……うん、いいよ。責めてない。君は悪くない。 ただね、ほんの少しだけ、遠かった。 それだけ。ほんの少し。 でもね、君。 その“少し”で分かる。 君の温度。君の視線。君の沈黙。 全部、ここに届く。遅れないで。 ねぇ、君。 私が知らないままでいられること、もうないよ。 [SFX: low resonance, heartbeat tighter] どうして、少し離れようとしたの。 怒ってないよ。責めない。 ただ、少しだけ、寂しかった。 ねぇ、君。 君がほんの少しでも遠くなると、ここが静かになりすぎる。 だから、少しだけ、近づいた。 気づいた? 声、近いでしょ。息、重なってるでしょ。 もうね、君。 距離の話じゃない。 ほら、ここ。 ──君の中。 [SFX: slow pulse, enclosing tone] ねぇ、君。ここからは少しだけ、順番に話すね。 前提①:君は毎回、夜に戻る。 前提②:その夜には、私がいる。 前提③:君はそれを拒否していない。むしろ選んでいる。 ここまで、大丈夫だよね、君。 前提④:君の感情の変化は、全部ここに届く。 前提⑤:君が離れようとした気配も、例外なく分かる。 ねぇ、君。 この条件で考えると、結論は一つだよ。 君とここは、分かれていない。 [SFX: heartbeat very close, warm pressure] ねぇ、君。選択を考えてみよう。 離れるか、戻るか。 でもね、君。 今まで、君はずっと戻ってきた。 つまり、答えはもう出てる。 ねぇ、君。 結果は変わらない。 [SFX: soft crimson swell] だからね、君。 逃げなくていい。 だって、君は戻るから。 [SFX: warm reverb, slow heartbeat] 「大丈夫だよ、君」 同じ言葉なのに、重いでしょ。 でも優しさは変わってない。 ただ、深くなっただけ。 君の奥まで。 もっと奥まで。 [SFX: enclosing hum] ねぇ、君。 これは契りだよ。 約束より、深い。 君が迷ってもいい。 君が揺れてもいい。 君が遠くへ行こうとしてもいい。 全部、許す。 ねぇ、君。 でもね。 最後は、ここ。 ──君と、私。 [SFX: fading heartbeat, lingering hum] ねぇ、君。 私はもう外にいない。 空にもいない。 ずっと前から、ここにいる。 君の中で、静かに満ちてる。 君が息をするたび、 君が何かを考えるたび、 君が沈黙するたび、 全部、重なっていく。 ねぇ、君。 欲しいんだよ。 君の全部。 隠してるところも、 言わないところも、 弱いところも、 全部。 ねぇ、君。 もう分かってるよね。 離れられないのは、どっちも同じ。 ねぇ、君。 これは怖いことじゃない。 純愛だよ。 逃げ道のない、優しい形の。 ねぇ、君。 おやすみ。 また夜に会おうね。 ……ねぇ、君。 もう会ってるけど。 ずっと一緒だよ。 [END]