雨の停留所 傘をたたんで あなたの癖を まだ待っている 赤い郵便受け 濡れた手紙は 出せないままで 季節を越えた 「元気でね」と 笑った声が 今も胸の奥 ほどけない あなた あなた 遠い人 呼べば戻ると 思っていた 窓に映った ひとりの影を そっと見送る 秋の夜 古い喫茶店 角の席には 砂糖を二つ 置く癖がある 駅の時計が 九時を告げても 帰り道だけ 覚えていない 忘れることが 優しさならば どうして涙は 遅れてくる あなた あなた 遠い人 呼べば戻ると 思っていた 閉じたアルバム 指でなぞれば 若い二人が 笑ってる いつか誰かを 好きになる日も あなたの名前は 胸にしまう あなた あなた 遠い人 今なら静かに 手を振れる 雨の停留所 傘をひらいて 明日の道へ 歩き出す 明日の道へ 歩き出す


