
封筒を開く音 白群色の便箋 静かな机の上で 朝前の光が滲む 薄いインク跡 余白に残る線 書きかけた文字が 静かに呼吸している 窓辺の透明瓶 乾いた紙の香り 過ぎた季節だけが 文字の間に眠っていた 指でなぞった跡 淡い青の影 名前のない気持ちが 紙面へ広がってゆく 未来の私へ向けて 小さな手紙を書く 忘れないためじゃなく 進んできた証として 白群色の余白へ 今日までの日々を置く 閉じ込めるためじゃなく 運んでいくために 消した文字の跡も 迷った時間さえも 今なら少しだけ 優しく眺められる 宛名のない封筒に 新しい日付を書く 終わった季節ではなく 続いてゆく記録として 小さな変化さえ 気づけなかった昨日も 折り重ねたページの中で 静かな意味へ変わる 未来の私へ向けて もう一度手紙を書く 失ったものより 残っている光を見る 白群色の便箋が 静かに風を受ける 閉じたページの先にも 物語は続いてく 遠く離れた明日へ この文字を預ける いつか読み返す頃 違う空を見ている 封筒を閉じる音 机に落ちる朝色 乾いたインクだけが 新しい季節を待っている

