
花嫁の舟が 紀の川をゆく 文金高島田 船頭を 背に 川を ゆっくり ただ 水面は 光を抱いて ゆれている 花嫁の 未来を 川は語らない 問いも 答えも 水はもたない ただ 流れる ただ 流れる 花嫁の舟は 逆らわず 流れにまかせ ゆっくり ゆく 白い襟足 朝の靄 祈りは胸に 言葉はなく 幸せですか 誰かが聞いても 川は今日も 流れゆく 約束よりも 確かなものは 時が 連れてゆくこと ただ 流れる ただ 流れる 花嫁の舟は 沈黙のまま 過去も 未来も 流れ 流れゆく 彼女は 幸せに なるのでしょうか ―― その問いさえ 紀の川は 抱いて 流れゆく ただ 流れ ただ 流れゆく 哀しい願いを のせながら 花嫁の舟は かすかな 華やかさ をのせて 紀の川をゆく 語らず 抗わず この川は ただ 流れゆく

