
赤い土の記憶
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V5.5
物語の序章:赤い土の記憶 (舞台は、夕暮れ時のプリンス・エドワード島。見渡す限りの赤い土の道。一人の東洋人の老人が、泥だらけの靴を見つめながら、道端で遊ぶ子供に声をかける……) 「おや、こんにちは。驚かせてすまないね。 見てごらん、私の靴を。この島の土は、本当に見事な赤色だ。 でも、君は知っているかな? この土がなぜ、これほどまでに赤いのかを。 これはね、ただの鉄分や粘土の色じゃないんだよ。 この一粒一粒にはね、何千年も前からこの島を『エペクウィック(波に揺れる地)』と呼んで、森や精霊と共に生きてきた人たちの、祈りが染み込んでいるんだ。 そしてね、その後に海を越えてやってきた人たちの、血と汗と、そして『騙された』と気づいた時の絶望の涙も……全部この土が吸い込んでいる。 君たちが今、誇りを持って住んでいるこの美しい島。 かつてここには、文字を持たないけれど、自然と完璧に語り合える『森の人たち』がいた。 けれど、遠く離れた国の王様や貴族たちが、地図の上に勝手に『くじ引き』で線を引いて、彼らの居場所を奪ってしまったんだ。 それはね、私の国の北の島……北海道という場所で起きた、アイヌという誇り高き人たちの物語と、悲しいくらいにそっくりなんだよ。 彼らもまた、ずる賢いやり方で宝物を奪われ、土地を追われた。 パイオニア、開拓者……。 歴史の教科書では、そうやって新しい土地を見つけた人たちを英雄として讃えるけれど、その足元には、必ず『消された人たち』の涙が流れている。 いいかい。私が今日、この泥だらけの靴でここへ来たのは、その消えてしまった『涙の粒』を、もう一度歌にして、空へ返してあげるためなんだ。 君に、その物語の続きを話してもいいかな?」

