十九年前の イエローストーン その空はまだ 青いと信じてた レーダーの上に 現れた影 誰もその名前を 知らないまま プロメテウス艦長 ブレンダンは当時 F-22で飛んでいた 前のめりな笑顔で 地獄をくぐる男だった だがあの日の空は 笑えるものじゃなかった 仲間のコールサインが ひとつ またひとつ 消えていく 友を失い 翼が落ちて それでも帰った まだ終わりじゃないと ブレンダンは今も言う あれは負けた日じゃない 生き残った日だ 次のラウンドに行く日だと 通常兵器では 止められなかった 炎の線が 空を切り裂いた 核の閃光が 夜より白く走る それで終わったと 誰もが思いたかった 十九年前の火は まだ消えていない 焼けた空の下で 未来が目を覚ました 墜落した敵艦 傷跡は少なく ただ機能だけが 静かに止まっていた 拾い上げた人類は その身体に名前をつけた プロメテウス 盗んだ火なら 未来まで燃やせ 生き残ったなら まだ前へ進め だがそれは 勝利ではなかった 灰の向こうから また影が動いた 空から来たのではない 大地のひびから現れた 海の底から 古い遺構から 星が兵を 吐き出すように まるでこの星が 人類に牙を剥くように 群れをなすミニスター それを率いるプリセプター 名前をつけなければ 恐れに呑まれそうだった 星の規律を 守る軍隊 そう呼んだその日から 星律機構が 敵の名となった 回収された 焼けた戦艦 人類はその骨から 翼を作った オーロラフレーム レガリアフレーム そしてさらに深く オルビスフレームへ すべては プロメテウスから その奥で眠る 機動兵器 エクス・オルビス 機械の神と呼ばれたものから 十九年前の火は まだ消えていない ハンガーの底に その炎は残る 敵の骨から 船を作った 敵の理から 機体を作った プロメテウス 盗んだ火を抱いて 人類は今も 星の牙と戦う ブラックボックスの 奥に触れた時 カーサは言葉を失くし グレンジャーは記録を見ていた 開かない扉 読めない起動 そのひとつに 焼けた排出口 緊急排出の 痕跡があった 何かを外へ 吐き出したような傷跡 だがその殻の中に もう答えはなかった ただ黒い箱だけが 静かに眠っていた エクス・オルビスの コックピットに 残されていた ひとつのDNA グレンジャーは言う 情報は完全だった 再構成は 理論上可能だったと カーサは言う でも最初に聞こえたのは 実験成功の音じゃない あの子が上げた泣き声だったと その子に アルカと名前をつけた 鍵ではなく 兵器ではなく ただ生まれた ひとりの子供として 十九年前の火は まだここにある 焼けた空も 消えた友も 拾った船も 眠る神も そしてその中から 生まれた命も プロメテウス 盗んだ火を抱いて 次の扉へ 今進む エクス・オルビス まだ眠るその中で 星がもう一度 人類を数え始める 十九年前の 火の向こう まだ誰も 知らなかった そのカウンターが 灯る日を