
Tick-tack 午後三時 紅茶が冷めるその前に ねえ 十五分くらいなら 世界も気づかないでしょ? 古い時計の針を止めて ポケットに鍵を隠した 「悪い子だ」って笑うなら 共犯者になってよ カップの向こう 目が合って 逸らしたほうが負けだから ほら もう一秒 盗んじゃおっか **3:00 PMを盗んで** 君とわたしだけ残して 秒針なんて眠らせて 今日を少し長くしよう Tick-tack 聞こえない こんな午後があったっていい 永遠なんていらないの あと十五分だけ 窓辺で猫があくびして 街は夕暮れを急いでる 直したはずの懐中時計 なぜか三時で止まってる 「壊したの?」 ……失礼ね ちゃんと理由があるんです 楽しい時間だけ 早すぎるから **3:00 PMを盗んで** 夕焼けにはまだ早いよ 飲みかけのミルクティーと 言いかけた言葉を残して Tick-tack もし明日 同じ時間に会えたなら 今日盗んだ十五分を 君に返してあげる ――なんてね 本当は時間を 止めたいわけじゃない 君といる午後を 少しだけ 長くしたかった **3:00 PMを盗んで** 時計たちが動き出す 秒針の音 街の音 世界がまた歩き出す Tick-tack 午後三時 魔法なんてなかったみたい だけど君のポケットには 知らない時計の鍵ひとつ だから―― また三時に ここで会おうよ Tick-tack Tick-tack…… 次は 三十分、盗んじゃおっか?

