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触れる、震える

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V6-MINI

古い部屋に 灯がひとつ 夜を全部 照らさない 黒い髪に 沈む影 赤だけが こちらを見る 慣れたはずの 暗がりで 慣れないものが まだひとつ 息を飲んだ そのことも たぶんあなたは 知っている 頰をなぞる 指の背が ゆっくり また ゆっくり 触れたところを辿るたび 小さな熱が 増えてゆく 近づいて 離れない 逃げるほどでもない距離 指先ひとつ 息ひとつ それだけなのに 落ち着かない 少し笑えば あなたも笑う 夜の静けさが ひとつ崩れる あなたの熱が 移ってくる 名前もつけず 移ってくる どこから私で どこからあなた 境目なんて もう知らない 明るい場所では踊らない 橙の灯だけあればいい 指先を取る その仕草に 私もひとつ 熱を返す 薄い布 掌 背中に残る その温度 近すぎる息 触れる脚 考えるより 先に抱く 言葉にすれば たぶん違う だから何も 言わなくていい 鼻先と 鼻先 ほんの少し触れて 止まったような一瞬が 笑った拍子に動きだす どうしてこんなことで こんなにも愛しいのか 分からないまま 分からなくていいまま 腕に力を込めてゆく あなたの熱は ここにある 私の熱も そこにある さっきと同じ夜なのに もう同じ夜ではない 橙の灯は まだひとつ 影だけが 形を変える 眠ってしまえば それでもいい 離れないなら それでいい 古い部屋に 灯がひとつ 腕の中には 熱がふたつ 夜はまだ 終わらない