
タイトル 『隣に住むハクビシンの 生態を僕はまだよく知らない』 夜になると ふらりと現れる 足音は軽くて 気配は薄い 甘いものが 好きらしい 隣に住む ハクビシン 警戒心が 強いらしい 近づきすぎれば 逃げるらしい 目が合ったなら ほんの一瞬 こっちを見るけど すぐ向こうを向く そういう生き物 らしいけど 僕はまだ よく知らない 隣に住むハクビシンの 生態を僕はまだよく知らない 夜が好きとか 甘いものが好きとか 知ってることは そのくらい 隣に住むハクビシンの 生態を僕はまだよく知らない たまに会うたび 少しだけ 知らなかったことが 増えていく この前たまたま 玄関先で 鉢合わせた 手にしてた袋から 甘い匂いがして これ美味しいですよ そう言って 少し笑った なるほど やっぱり 甘いものが 好きらしい 思ってたより よく笑うこと 話してみれば 声がやわらかいこと それから 名前を呼ばれると 僕のほうが 少し困ること 本に書いてある 生態より 知らないことのほうが ずっと面白い 隣に住むハクビシンの 生態を僕は少しだけ知っている 甘いものが 好きなこと 笑うとちょっと 目を細めること 隣に住むハクビシンの 生態を僕は少しだけ知っている でもそれ以上は まだ何も 知らないままで いい気もする 好きな映画とか 好きな季節とか 休みの日には 何してるとか そんなことは 生態図鑑には 載ってない だからいつか 会ったときに 聞いてみれば いいだけだ 隣に住むハクビシンの 生態を僕はまだよく知らない 知れば知るほど 知りたくなるのは どういう習性 なんだろう 隣に住むハクビシンの 生態を僕はまだよく知らない 次に会ったら もう少しだけ 話せたらいいなと 思っている ハクビシンは 人に慣れることも あるらしい それなら僕も もう少しだけ 慣れてみようかな

