潮風が揺らした 
赤い花の影 
灼けたアスファルト越しに 
君は夏を纏っていた 
鮮やかな微笑みだけが 
やけに胸を焦がしていく 白いワンピースの裾が 
南風に溶けるたび 
触れられそうで届かない 
蜃気楼みたいだった 
ねぇ 
その瞳の奥にある 
孤独まで 愛せるかな 
ハイビスカスの赤が 
夜空を染めていく 
華やかな君の横顔 
ひどく儚くて 輝きながら揺れる 
熱帯夜の中で 
清らかなその強さに 
僕は恋をした 
濡れた髪をかき上げる 
その仕草さえ艶めいて 
月明かりに透ける肌が 
静かに夏を狂わせる 誰よりも綺麗なのに 
誰よりも脆そうで 
壊れそうな花みたいに 
君は笑っていた 
ねぇ 
怖れることもなく 
燃えるように咲いていた 
ハイビスカスの赤が 
心まで染めていく 
勇敢なその眼差しが 
今も離れない 眩しいほど自由で 
切ないほど綺麗で 
一瞬だけ咲く光に 
僕は惹かれてた 
波音だけが残る 
夏の終わりの海辺 
君の残した温度が 
まだ消えないまま 
ハイビスカスの赤が 
朝焼けへ溶けていく 
繊細なその美しさ 
抱きしめたくて 輝きながら揺れる 
短すぎる季節を 
忘れない この胸で 
君は咲き続ける 
潮風の中 
赤い花が揺れていた