
鳥居のむこうで ラジオが鳴っていた だれもいない夏祭り ぼくだけが遅刻した 金魚は空を泳ぎ 風鈴は海へ落ちた 神様の忘れものを ポケットに隠してる 夕焼けに穴があいて 夜が漏れ出している 帰り道を失くしたまま きみを探していた ねえ この世とあの世の あいだにある売店で ラムネを一本買ってよ 狐火 狐火 揺れるレコード 回り続ける夏の亡霊 祭囃子が遠ざかるたび ぼくらは少し透明になる 狐火 狐火 燃える心臓 誰にも見えない傷を照らせ 夜明けなんか来なくても 歌だけ残ればいい 自販機の光だけが 百年前を覚えてる 錆びたブランコの影で 流れ星が腐ってた 校舎裏の紫陽花に 秘密を埋めた夜 掘り返したその場所には なぜか海があった 荒魂 音にて和す そんな言葉も知らぬまま 壊れたギターを抱えて 神様ごっこをしていた 狐火 狐火 揺れるレコード 止まりかけてる世界の隅で 泣きそうな空を見上げながら ぼくらはまだ歌っている 狐火 狐火 燃える心臓 名前も持たない感情たち いつか全部消えるなら せめて綺麗に燃えてくれ 鳥居のむこうで まだ音が鳴っている だれもいない夏祭り ぼくだけが覚えていた

