
「……ごれっせきのしょこうも ごぞんじの通り 亡くなられたぜんほうおうは あまたの祈りと 涙とに 見送られ…… 安らかに 天に召された。 よからぬ噂を 立てるものもあるが まこと てんじゅをまっとうされたのだ。 しかし。……私は 次のほうおうに 即位する気は ない。 いや 正確に言おう。これまでのようなほうおうとして 飾り物にされる気は ないのだ。 王とは 何だ?ただおうけに 生まれついた。 それだけの理由でわがまま放題、かしずかれ暮らす王とは? ただの兵士には 王のようにふるまう事は 許されぬ。 たとえ そのへいが王のうつわを もっていようとも 生まれついたみぶんからは 逃れられぬ。 ……そう 私もだ。 ふていの子として生まれ 家を追われた みぶんいやしき者は ほうおうにふさわしくない。 きょうかいの誰もが そう言った。 りょうけに生まれた 無能なそうどもにしか ほうおうのかんむりは 与えられぬのだ と。 いととくたかく とうときぜんほうおう。 だが やつが 何をしてくれた?よの無常を嘆き 祈る。それだけだ。 神も 王も ほうおうも みな当然のように たみの上へくんりんし 何ひとつ 役には立たぬ…… ……だが 私は違う。 とうとき血など 私には ひとしずくたりとも 流れてはいない。 そんなものに 意味なぞない。だが 私はここにいる。 みずからの手で この場所に立つ権利をつかみ取ったのだ! 私に従え! 無能な王を ぎょくざから追い払い 今こそ 新しいあるじを選ぶべき時!! ……さあ。選ぶがいい。われに従うか さもなくば…… ……そこにいる侵入者のように 殺されるかだ!」

