むかしこの星には 海があったらしい 青い毛布みたいに大地を眠らせていた おじいさんは そのまたおじいさんが最後の一滴を飲み干したんだ って歌った なみだのない 泣いてる目で 空を見上げている 出たことのない なみだが おれを満たしている 見たことのない 雨が 体のどこかで降っているのかな くだけたコンクリは 海の砂に戻って 月がのぼるとき たまに摩天楼の影になる シーグラスを拾った 嫉妬にも似た小石 角がとれて どこまでも可塑的な奇跡 なみだのない 泣いてる目が いちばんきれいだと 誰かがおもてで くちずさんでる 干からびた体に進化したけど あふれてくる ずっとあふれている ハイウェイだったひび割れたなにかにのって バック・トゥ・ザ・ウォーターって くちずさんでみる 石鹸、いちど使ってみたかったんだよね って それはジョークだけど タイヤだけは 地球の底を向いたまま なみだのない泣いてる目で 雲を数えている 出たことのないなみだが 船をゆらしている 見たことのない雨が 道ゆく先々 乾かしていく ロケットはぜんぶ 行ったきりでさ 人工衛星のほうが 地球に帰ってくるね 軌道をそれて 軌道から落ちて それが軌道ってことなら 歴史の軌道を 見失っている 風が砂をさらう夜は 体のどこかがうずく 進化って呼ぶには あまりに静かで 退化って呼ぶにも あまりに怠惰だ 子どものころ拾ってきた黒い円盤 投げるといい音がする しならせてもいい音がする 溝をなでるといい気持ちで 眠れそうな気がする なにかを歌う夢を見て ぱっちり 目覚められたらいいな なみだのない泣いてる目が いちばんきれいだと 誰かがおもてで くちずさんでた 雨も海も 地球がぜんぶ忘れても あふれてくるものを あふれてくるものを


