
[Intro] 昼のざわめき 何事もなかったような顔 ここだけ時間が ちゃんと流れている [Verse] 紙袋が揺れて 立ち止まる君の影 「どっちがいい?」 その一言に 言葉が少し遅れる [Verse] 笑われるほど優柔不断で それでいいと思える距離が 今はただ怖い 手放したくないのに 手放さなきゃいけない気がする [Pre-Chorus] 消えない鼓動が胸の奥で 黒い光がまだくすぶってる 戻れなくなるその想像だけ うまく追い出せないまま [Chorus] それでも守りたい 理由なんて言葉にできない 壊れそうな未来も 知らない顔した日常も この手の届くところに いてほしいだけ [Verse] 夕暮れの色が街を包んで 当たり前みたいに今日が終わる そのことが少し重い 何も起きないその裏側で 何かが近づいてる気がして 目を逸らすほど 鮮明になる [Pre-Chorus] 選ばれた覚えも誇りもない ただここに立っているだけ 知らないままでいられたなら どれだけ楽だっただろう [Chorus] それでも守りたい 正しさより確かな想い 名前のない恐れも 戻れない可能性も 全部抱えたまま 歩いていく [Bridge] 離れた場所で 誰かが線を引く 偶然を並べて 意味を探す 気づかないふりをして 進むほど 中心は近づいてく [Build-Up] 点は集まり やがて形を作る 俺の名前が その真ん中にある [Final Chorus] それでも守りたい ただそれだけが消えない 集められる点は まだ答えにならない でもこの胸の奥で 確かになっている 君の隣にいたい それが俺のすべてだ 世界が俺を呼んでも ここに留まる理由になる [Outro] 夜が来る 音もなく 影が重なる その先で 呼ばれた気がした ――まだ 振り返らないまま [End] 【Episode Story】 【第8話・集められる点】 遺跡での戦いの後、街は何事もなかったかのように朝を迎えた。 昼下がりの商店街。遺跡調査で忙しい父の代わりに、頼まれるまま幼馴染の買い物に付き合うことになった。買い物袋を手にした幼馴染が、店先で立ち止まる。 「ねえ、これどっちがいいと思う?」差し出された商品を見つめながら、主人公は一瞬だけ言葉に詰まる。他愛のない時間。戦いとは無縁の、静かな距離。 「……そっち、かな」少し遅れて答えると、幼馴染は小さく笑った。 「相変わらず優柔不断だね」冗談めいた声。だが主人公の胸の奥では、別の鼓動がまだ収まっていなかった。 ――もし、あの力が完全に目覚めてしまったら。 ――もし、人間として戻れなくなったら。 考えないようにしても、あの黒い光が脳裏をよぎる。幼馴染の横顔を見る。守りたいと思う気持ちだけが、はっきりしていた。 一方その頃。 オルディアの事件を追っていた記者は、自室の机に事件資料を並べていた。これまでの襲撃地点。被害者の職業。遺跡に関わった時期、調査内容、関係者の名簿。壁に貼られた地図には、無数の点が打たれている。赤い線で結ばれたそれらは、偶然とは言い難い形を描いていた。 「……無差別じゃない」襲われたのは、通り魔的な被害者ばかりではなかった。 「遺跡調査に関わった人間が多い……」記者はメモを取りながら呟く。発掘関係者。研究助手。警備担当。そして、調査終了後に連絡を絶った者たち。共通点は、地下遺跡。そしてもう一つ―― 「この現場には、必ず現れている」写真を一枚、手に取る。夜の闇の中。異形に立ち向かう装甲の戦士。仮面の奥の表情は見えない。 だが、その立ち姿は、まるで誰かをかばうように見えた。再び机に視線を落とす。最新の遺跡調査参加者リスト。 その中の一つの名前に、ペン先が止まった。それは主人公の名前であった。過去の資料と照らし合わせる。奇妙な一致が、いくつも浮かび上がる。襲撃が起きた日、彼は必ず調査関係者として現場周辺にいた。被害者との直接的な関係はない。だが、点を結ぶと――「……近すぎる」記者は静かに息を吐いた。点は、線になりつつある。線は、中心へと収束していく。まだ確証はない。だが、調べる価値は十分にある。記者は、新しいページにその名前を書き記した。 夕暮れ。 買い物を終え、帰り道を歩く主人公と幼馴染。街は穏やかで、空は静かに染まっていく。「今日はありがとう」幼馴染が言う。「……いや」言葉を探しながら、主人公は歩みを止める。 言えないことが多すぎる。守るために、隠していること。そして、自分自身への恐れ。その背中を、誰かが遠くから見つめていることも知らずに。 その夜。街の外れ。人気のない場所で、空気が歪む。闇の中に、異形の影が現れる。そして、それを見下ろすように、少年の姿があった。 「もう少しだね」楽しげに、呟く。「まだ足りない。でも……」口元だけが歪む。 「きみは、ちゃんと近づいてるよ。ガルド」風が吹き、影は消える。 点は集まり、やがて一つの真実を形作る。静かな夜の中で、次の事件は、まだ音も立てずに息を潜めていた。


