
The Kiss of Eventide
西の空から 光が滴り落ち からすの羽が 太陽を覆い隠す 朽ち果てた礼拝堂 煤けたステンドグラス ひび割れた天使の瞳から 紅い涙が伝う 誰もいない回廊に 響くのは私の足音か それとも 背後に潜む「影」の囁きか 「逃げなさい」と風が哭き 「おいで」と土が呼んでいる 冷えた指先が うなじを撫でる 血管を流れる氷の調べ 拒絶さえも 甘美な 悦びに変わる 理性の幕は 静かに下ろされた 狂おしく咲き誇る 夜の帳 銀の月光に 吊るされた操り人形 悲鳴はアリアに 絶望はドレスに 私は今 人ならざる者たちのワルツへ 溶けてゆく 二度と戻れぬ深淵へ 百合の花弁は 毒を孕んで 鏡の中に映る私は もう私ではない 牙を隠した微笑 血の香りに酔いしれ 永遠という名の 呪いを飲み干す 嗚呼、光など 初めから無かったのね この闇こそが真実 この冷たさこそが救い 意識の糸が ぷつりと切れる音 最期の呼吸が 悲鳴に変わる…… 狂おしく咲き誇る 夜の帳 銀の月光に 吊るされた操り人形 悲鳴はアリアに 絶望はドレスに 私は今 終焉を告げる口づけを待つ 逃れられない 美しい地獄の中で さようなら、昨日までの私…… もう、何も怖くない ただ 身を委ねるだけ

