
『手の鳴る方へ』 鬼さんこちら 手の鳴る方へ 鬼さんこちら 私の闇へ 朧月夜に 影をほどいて 古の森の 奥深く 息を潜め 指を結び 鬼よ、来ませ 声が聞こえるか 人のぬくもりじゃ もう眠れない あの夜の爪痕 まだ疼く 手の鳴る方へ 甘く誘う 鈴の音ひとつ 夜にほどけて 逃げようとも 抗おうとも この契りは もう解けぬもの 鬼さんこちら 手の鳴る方へ 来ておくれ 夜の帳へ 紅い月が ふたりを見ている 触れて 私の闇まで 鬼さんこちら 手の鳴る方へ 鼓動重ねて 夜に揺られて 絡めて 絡めて この身を焦がして 明けぬ夜へ 沈みましょう 朽ちた社に 灯る鬼火 古き禁忌が 目を覚ます 唇濡らし 名を呼べば 鬼よ、来ませ 奥へ沈め 優しい腕では もう足りない 怖いほどの熱だけ 覚えている 手の鳴る方へ 甘く激しく 紅い毒を 胸に落として 抗うほど 絡みつく この悦びは 罪の果て 鬼さんこちら 手の鳴る方へ 来ておくれ 理性の鎖へ 紅い月が ふたりを狂わせる 奪って 私のすべてを 鬼さんこちら 手の鳴る方へ 鼓動狂わせ 夜に溶け合い 焦がれて 乱れて 魂まで染めて 明けぬ夜へ 堕ちましょう 仮面の下 隠した欲望 笑い声は 蜜のよう 呼んでいるのは 君か 私か 手を鳴らすたび 何かが目覚める 鬼さんこちら 手の鳴る方へ もっと近く もっと深く 私へ 月の光が 禁断を照らす 捕らわれよ 解き放たれよ 鬼さんこちら 手の鳴る方へ この声ごと 魂を捧げて 呼んだ鬼は どこにいる この身の奥で 私を呼ぶ 鬼さんこちら 手の鳴る方へ

