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最後の選択【装甲戦士ガルド23】

V5.5

[Intro] 静かな光が 夜に溶けていく [Verse] 長い旅のような道のりの その先で やっとたどり着いた 守ること 失うこと そのすべてを 抱きしめながら [Pre-Chorus] 強さだけじゃ たどり着けない 答えがあった [Chorus] 守りたいと 願うこと それが俺を ここまで連れてきた その想いが それがすべてだった [Post-Chorus] Far away Light fades away [Verse 2] ひとりぼっちで 空を見てた 悲しい世界の中 でも最後に 君は知った 誰かを想う心 [Pre-Chorus] 弱さも 痛みも きっと意味があった [Chorus] 守りたいと 願うたび 人は強く なれるんだね 壊れそうな この心も 誰かがつないでいた [Bridge] この力は 永遠じゃない でも―― だからこそ 守れたものがある [Breakdown] ありがとう [Final Chorus] たとえこの力を 失ったとしても この記憶は 消えたりしない つながってた その想いが 明日を作っていく [Post-Chorus] Far away Into the sky Never alone Never goodbye [Outro] 夜の空に 光が消える でも―― 心は残っている ありがとう [End] 【Episode Story】 【第23話・最後の選択】 静寂。青白い精神世界。果てのない空間。そこに――三人が立っていた。主人公。オルディアの王。そして、弟。もう装甲はない。王も少年の姿に戻っていた。静かな風が流れる。王は俯いたまま立っている。主人公は黙って見つめていた。 やがて、王が、小さく笑う。 「……負けたんだね」 静かな声。もう、あの狂気はない。弟が静かに兄を見る。王は続ける。 「最後まで……分からなかった」 一拍。 「なんで、そこまでして守ろうとするのか」 主人公は答えない。王は小さく笑う。 「壊れるかもしれないのに。失うかもしれないのに。それでも、誰かのために戦うなんて」 目を閉じる。涙が頬を伝う。 「……やっぱり、人間って変だね」 弟が静かに言う。 「兄さん」 王は振り返らない。 「ぼくは……ずっと、一人だった」 主人公の目が揺れる。王は続ける。 「ずっと、この星を見てきた。生き物が生まれて、消えていくのを。でも、誰とも繋がれなかった。だから、分からなかった。誰かを想うっていう感覚が」 弟が静かに近づく。王は小さく笑う。 「でも……」 涙が落ちる。 「最後に少しだけ、分かった気がする」 静寂。弟が優しく言う。 「兄さん」 王が目を閉じる。弟は続ける。 「もう一度、一緒に見守りましょう。この星を」 王の目が揺れる。 弟が続ける。 「人間は確かに不完全な生き物です。弱いし、間違えることもある。でも――」 微笑む。 「だからこそ、あんなにも強く願える」 主人公は静かに聞いていた。弟は兄を見る。 「いつかきっと、兄さんにも分かる日が来ます」 一拍。 「もう、ひとりぼっちじゃありません」 小さく笑う。 「僕がいますから」 静寂。王の目から、また涙が落ちる。 やがて。小さく笑った。 「……そっか」 一拍。 「ぼくにも、まだ分かる可能性があったんだ」 弟が頷く。王の体が、少しずつ光り始める。粒子となって崩れていく。だが、その顔は穏やかだった。 王は主人公を見る。 「……ありがとう」主人公の目が揺れる。王は続ける。 「最後に、君と戦えてよかった」 そして――弟へ視線を向ける。 「ごめん」 弟は静かに首を振る。 「兄さん」 王は後ろを振り向く。 「今度は、ちゃんと見てみるよ」 王の体が粒子へ変わっていく。 「この星の未来を」 そして――消えた。 主人公が静かに言う。 「……終わったんだな」 弟が頷く。 「はい」 主人公は空間を見つめる。 「お前たちは……結局、なんだったんだ」 弟は少し考えるように目を閉じる。 「この星の観測者、だったのかもしれません……。僕たちは、ずっとこの星の進化を見ていました」 一拍。 「そして、中でも人類は特別だった」 主人公は静かに聞く。弟は続ける。 「人間は、感情という力を持っていた。悲しみも、喜びも、怒りも、愛も。とても不安定で、非効率で、矛盾だらけなのに――」 少し笑う。 「時々、奇跡みたいな力を生み出した」 主人公の目が揺れる。 「僕は、それを美しいと思ったんです。だから兄と一緒に、人類の力を借りてガルドシステムを作りました」 主人公が返す。 「……実体を得るために」 「はい」 弟は頷く。 「感情を増幅し、物質へ変える。人間の持つ『想い』そのものをエネルギーに変えるシステム」 一拍。 「兄は、その力を利用しようとした。僕は、その力を理解したかった」 静寂。弟は続ける。 「でも結局、僕たちは感情という力を完全に理解しきれなかった。だから兄は、制御しようとした。そして、壊れてしまった」 主人公は静かに目を閉じる。弟は微笑む。 「でも、あなたは違った。あなたは恐怖も、弱さも、誰かを好きな気持ちも、全部受け入れた。だから、ガルドシステムが真の完成に至ることができたのです」 主人公が静かに拳を見る。その手に、まだ微かな青い光が残っている。 だが――次の瞬間。空間に亀裂が走った。 弟の表情が変わる。 「……もう限界です」 主人公が顔を上げる。 「……?」 弟は静かに続ける。 「兄のガルドシステムへ干渉した時点で、あなたの存在構造は崩れ始めています」 主人公の目が揺れる。 「今のあなたは、人間でもオルディアでもない」 一拍。 「ガルドシステムによって、かろうじて存在を維持している状態なんです」 主人公は自分の手を見る。光が、粒子のように崩れ始めている。 弟ははっきり言った。 「このまま何もしなければ、あなたは消滅します」 「……」 しかし、弟は続けて言った。 「ですが、それを防ぐ方法が二つだけあります」 主人公が顔を上げる。 「一つは、兄のガルドシステムを取り込み、究極の『ガルド』として存在を固定する方法です」 一拍。 「その場合、あなたは人間には戻れません。そのかわり完成したガルドシステムの力で生物の圧倒的上位存在として世界に君臨することができます。この世界の王のような存在になることも容易でしょう」 主人公は黙って聞いている。 「もう一つは――」 静かな声。 「あなた自身のガルドシステムを停止することです」 主人公が問う。 「……停止?」 「はい」 弟は頷く。 「ガルドシステムとの融合を解除するということです」 一拍。 「成功すれば、人間としての存在を取り戻せるかもしれません」 「……かもしれない?」 「これについては初めて行うことですので必ず成功するという保証はありません。失敗したらガルドシステムごと存在が消えるかもしれません。」 静かに。 「また、ガルドシステムを停止すれば、もし人間に戻れたとしても、あなたはもう二度とガルドへ変身はできなくなります。ですが――人間へ戻る方法があるとしたら、それしかありません。」 主人公はしばらく黙っていた。 そして――小さく笑う。 「……そんなの決まってる」 弟が静かに主人公を見る。主人公は空を見上げる。 浮かぶ。 幼馴染の笑顔。 幼馴染の父。 記者。 街の人たち。 守れた命。 そして―― 『帰る場所』 主人公は静かに言う。 「俺は、人間として帰りたい」 一拍。 「ちゃんと、自分の言葉で伝えたいことがあるんだ」 弟は、優しく笑った。 「……あなたなら、そう言うと思っていました」 主人公が聞く。 「君は?」 弟は空を見上げる。 「僕は、兄と一緒にまた見守ります」 静かな声。 「この星の未来を」 弟が静かに言う。 「ガルドシステムを停止します」 主人公は頷く。 「……ああ」 次の瞬間。青い光が弾けた。 弟が静かに目を閉じる。 「これで、オルディアも……終わります」 光が舞う。弟の体も、少しずつ粒子へ変わっていく。 「君も消えるのか」 「はい」 でも、その顔は穏やかだった。 「でも、寂しくありません」 微笑む。 「ようやく、兄と同じ景色を見られる気がしますから」 主人公は静かに頷く。弟は最後に言う。 「あなたに会えてよかった。本当にありがとうございました」 弟は優しい声で言った。 「ガルドに、『意味』をくれて」 そして―― 「いつまでも兄と一緒に、皆さんを見守っています」 光になって消えた。 夜。崩れた街。その中心で――主人公は立っていた。 装甲が、静かに崩れ、青い粒子となって夜空へ消えていく。主人公は、自分の手を見る。 もう、光はない。 静かに笑う。 生きている。 人間として。 主人公は小さく呟く。 「……ありがとう」 夜空を見上げる。 「ガルド」 夜空には、無数の星が輝いていた。