あなたの口癖がふと零れた 似合わない言葉だと笑っていたのに あの日ぶつけられた棘の意味まで 今なら少しだけ分かる気がする 知らないふりをして通り過ぎた声も 消えてはいなかった 静かにここにいた 触れるたび削れて 触れるたび増えてゆく どこまでが私かなんて もう測れない あなたが残したもの あの人にもらった痛み 笑い方も 疑うことも いつしか私の声になった 綺麗なものだけじゃない それでも捨てたくはない 刻まれた跡を隠さずに 私は私を名乗っていく 隣で鳴っていた不器用な音 何度も合わせるうち 呼吸を覚えた 遠くから届いた名前も知らない声 一行の言葉だけ今も離れない 正しさを譲れずに背中を向けた夜も あなたの見ていた景色が 後から追いついた 近づけば傷ついて 離れれば気づいてしまう 一人では選ばなかった色が増えていく あなたが残したもの 私が残したもの 混ざり合って ぶつかり合って どちらのものでもなくなった 昨日と違うこの声を 裏切りとは呼びたくない 変わってしまったその先で またあなたと話したい 優しさだけでは変われなかった 傷だけでもここまで来られなかった 忘れたい言葉ほど 深く残ることもある あなたの言葉の重みまで 今の私が覚えている あなたが残したもの あの人にもらった痛み 笑い方も 迷うことも すべてが私の声になった 誰にも触れられないまま 私でいたかった頃より 少し歪で 少し複雑な この輪郭を愛していたい あなたと出会った痕跡も 私が誰かに残す跡も 重なりながら 変わりながら それでも私はここにいる 消さなくていい... 戻らなくていい... この跡が私をつくっている


