
■ 蟻-アリ- (タロウ版) ギャグストーリー
(タロウ版)ショートストーリー 「一匹は 皆の為に、皆は一匹の為に……。 よし、今日も地上を支配してるな」 蟻の 自治制 K24区、第 71穴。 住民のアリ・タロウは、自室の壁の 『地上支配MAP「近所の公園の砂場」』 を見つめ、強気に呟いた。 我ら 蟻軍団は 地上最強。 かず(数)で勝負すれば 92%の 確率で 秒で 敗北する。 あとの8%の勝利に賭けるのがギャンブラー ……もとい、支配者の矜持である。 タロウが「自治ニュース速報(1ch)」を点けると、 無機質な声が流れた。 『本日の 殉職者数:276匹。 主な原因は巨人の子供による「死刑執行」および、 空から降ってきた「謎の粘着弾「ガム」」です』 「……今日も世界は残酷だ。 3chの天気予報はどうだ?」 『……気象兵器「ジョウロ」による 散布予測あり。 溺死に ご注意ください』 そんな 絶望的な 日常の中、 蟻たちには 唯一の 希望があった。 「蟻 特別 優遇 制度」である。 年に2回 働かない蟻の中から選別される 「エリート、働かない蟻」への道。 その証は 赤紙。 選ばれし2割のニート蟻は、 女王様「推定18歳、美魔女」の側近とし、 一生働かず「ボンタンアメ」を貪る権利を得られるのだ。 タロウの夢は、 その赤紙を手にすることだ。 「働いたら負けだと思った。 だから俺は、 今日も列の最後尾で反復横跳びをする。 これが俺流の『働かないアピール』」 そこへ、自治会の役員。 その手には、鮮やかな赤色の紙。 「アリ・タロウ君。おめでとう。 君の圧倒的な『生産性のなさ』が評価された。 君を特別優遇対象に任命する」 「きたあああああ!女王様!ボンタンアメ! オブラートの中身だけペロペロする生活✨ スタートやぁぁ!」 タロウは歓喜の雄叫びを上げ、 役員から赤紙をひったくった。 だが、 そこには小さな注釈が書かれていた。 『特別優遇対象:第1種・気象兵器 観測用 デコイ 「身代わり」のことだ』 「……え?」 「タロウ君、君は今日から 『巨人の子供』の注意を引くため、 公式の生贄に選別された。 君が踊っているあいだ(間)に、 我々がボンタンアメを回収する。 まさに『一匹は皆の為に✨』!」 タロウが絶望のあまり、 3%の確率でしか起きない「勝利」を願った。 その時、目の前に巨大な影が差した。 巨人の子供『死刑執行人』の手に、 光り輝く透明な物体。 「わあ、アリさんだ!はい、アメあげる!」 投げ込まれたのは、 タロウが夢にまで見たボンタンアメ。 しかし、 それはオブラートに包まれてはいなかった。 ベタベタと体にまとわりつく甘い蜜。 脱出不可能。 「た、助けてくれ!オブラートがないだろー! 中身だけがいいって言っただろ!」 もがくタロウに、 隣にいたベテランのアリが、 力強く言い放った。 「甘えるな。人生もありせい(蟻生)も、 そんなに甘くはないんだ」 Sugar-free Sugar-free Sugar-free…… 頭の中で、連呼した タロウは悟る。 地上を支配しているのは自分たちではなく、 この「ベタつき」だということを。

