
静かな空に 罅は残り 勝鬨はもう 誰も上げない 壊れたリングが 光を失くし 黒い煙が 朝に溶けた マリが ノイズの底を探る ケンソルの声は まだ切れて 消えずにいる ユーリが 焼けたラインをなぞる エディクトゥムへ 流れていた 光の印 ジョアンが 深く息を吐いた あの白い影は まだ沈んでいない 勝ったはずの 戦場に なぜこんなにも 重い静けさ 倒したものの 胸の奥 空の席だけが こちらを見ていた 空の器 誰を待っていた 裁きの中に 残された祈り 空の器 なぜ開いていた 乗る者なき 神の身体が 誰かの名前を 探している ヨシュアは 低く声を落とす 僕がもう少し 早く読めていたら 誰かの盾を あそこまで 削らせずに済んだのかな シンフアは 割れた盾を抱く あたし 守れたのかな それともただ 壊れる順番が あたしだっただけかな ルイスは肩を すくめて見せた チビスケの盾が なかったら オレっちなんか アフロヘアーさ 勝ちは勝ちだろ 生きてりゃ 次のラウンドだ マーガレットはただ 人形を抱きしめ ケンソルの 胸の奥を じっと見ていた あたち あそこ嫌い 座ったら 名前より先に 役目で 呼ばれちゃうから 誰も乗らずに 動いていた 誰か乗れるように 作られていた 壊したはずの ケンソルに 一人分の 静かな闇があった レーチェルが 記録を閉じる 戦闘終了 ケンソル大破 執行継続不能 ブレンダンが 低く呟く 空っぽなんかじゃねえ 空っぽにされて 待ってたんだ エディクトゥム 白い船 その中にも 席があった 空の器 誰を待っていた 裁きの中に 残された祈り 空の器 なぜ開いていた 乗る者なき 神の身体が 今人の手に 渡されていく 空の器 まだ答えないで その席に 誰が座るのか まだ誰も 知らないままで アルカはそっと 手のひらを握る 俺も 器なのか ハンガーの夜に 声だけ残った

