
1本の 髪の毛が 月の光に 導かれ 伝説が始まる 磯野波平 54歳 頭頂部に 1本の髪をもつ 会社から帰れば ちゃぶ台の前 でも 誰にも言えない 秘密がある タマが 額を引っ掻いた 夜 1本の髪が キン!と光った ちゃぶ台の下に 落ちていた あの光る物は なんだったんだ 受け取れ 磯野 これが お前の 月の力 月の戦士 セーラー磯野! 1本の髪で 敵を討つ! 磯野家の平和 守るため 今日も静かに 帽子をかぶる 敵が現れた 夜の庭 波平は 静かに 立ち上がる 1本の髪を 風になびかせ 月を見上げて 息を吸った ばっかmoon!! 月に代わって お仕置きだ!! 月の戦士 セーラー磯野 碁石で 敵を倒す 1本の髪を なびかせながら 磯野家の明日を 守り抜く 隣の伊佐坂 60歳 昔は 月の戦士だった 「もう わしには 無理じゃ」 と光を失った 皺が増えるたび 力が逃げて 原稿用紙に 向かう毎日 波平の 運命(さだめ)を 知りながら 何も言わずに 歳を取った 夜の庭で 波平が立つ 1本の髪を 月にかざして 伊佐坂は 窓からそっと見ていた 「……まだ 闘っとるんか 磯野くん」 自然と 涙が出た 昔の月が 見えた気がした 「歳は 関係ない……か」 ペンを置いて 天を仰いだ ばっかmoon!! 月に代わって お仕置きだ!! 月の戦士 セーラー磯野 セーラー伊佐坂 隣に立つ 60になっても まだ闘える 〆切と敵を 一緒に倒す! セーラー磯野 今日も行く ちゃぶ台の前に 戻ってく 1本の髪 なびかせながら 「こら!カツオ!」 の声が磯野家に響く

