
声はドンレミに降る
[Intro — distant bells, a cappella] ジャンヌ 聞こえていますか 鐘の音が消えたあとも なお残る この声を 恐れなくていい 目を閉じなくていい 私はここにいます あなたの名を 呼ぶために [Verse 1] 麦の穂を渡る風のなか 静かな村に朝が来る 糸を紡ぐ その小さな手が やがて旗を掲げるでしょう まだ剣(けん)を知らなくても まだ戦(いくさ)を知らなくても 生まれた場所も 持たぬものも あなたの歩みを 決めはしない [Pre-Chorus] 恐れは 恥ではありません 震える心を抱いたまま それでも進めるのなら その一歩を 勇気と呼びましょう [Chorus] 行きなさい ジャンヌ 声の示す方へ ドンレミの鐘を 胸に残して 遠い城壁の向こうまで あなたの旗を運びなさい 誰かがあなたを嘲っても 誰かが名を奪おうとも あなたが何者なのかは あなた自身が示すのです [Verse 2] 道はいつしか泥に濡れ 白い旗にも傷が増える 歓声のなかに立つ日にも 孤独はそばにいるでしょう 正義を語る者たちが 同じ神の名を掲げながら 互いに違う剣を取り 違う明日を望むでしょう それでも ジャンヌ 憎しみだけを 道標(みちしるべ)には しないで [Pre-Chorus 2] 祈りと命令は 同じものではない 信仰と権力も 同じものではない 人の言葉が 神の名をまとっても そのすべてが 天から来るわけではない [Chorus 2] 進みなさい ジャンヌ 恐れを知るままで 勇気とは 傷つかぬことではない 涙を隠す必要もない 弱さを捨てる必要もない あなたが守ろうとしたものを 見失わないで 鐘のない場所にいても この声を覚えていて [Interlude — wordless sacred vocal] Ah―― Ah―― Kyrie eleison… [Bridge — sparse, solemn] いつか人々は あなたに名を与えるでしょう 聖なる者 愚かな者 英雄 異端 勝利の象徴 敗北の記憶 けれど その、どれひとつとして あなたのすべてを 語ることはできない ジャンヌ 私はあなたに 憎めとは告げない 私はあなたに 死ねとも告げない ただ―― あなたの心を 他人の手に渡さないで [Final Chorus — full choir and organ] 行きなさい ジャンヌ あなた自身の道へ ドンレミに降った光は 今も消えてはいない 旗が裂けても 剣(けん)が折れても あなたの声まで 奪わせてはいけない 人があなたを 何と呼ぼうとも それであなたの名は 変わりはしない 星より遠く 時を越えて あなたの祈りは 残るでしょう だから行きなさい ジャンヌ 恐れながら 迷いながら それでもあなたが 選んだ方へ [Outro — orchestra fades, distant bell] そしていつか 長い戦いが終わったなら もう 旗を掲げなくていい もう 剣(けん)を握らなくていい ジャンヌ よく歩きました 今はただ その手を休めなさい ドンレミの鐘が 聞こえるでしょう 帰りなさい あなたがまだ ひとりの少女だった あの空へ [very softly] 私はここにいます。

