その後城にやってきたクーガは、 「驚くどころじゃないですよ。どうやっていただいたんです?」 とゆりに聞いていた。 「普通に、手形くださいって言いました」 「…………」 クーガは頭に手をあてている。 「どうしたんですか。何かまずいことでもあるんですか?」 「神様というのは、すべての国に平等でなければならないんですよ。あなたの国だけひいきするわけにはいきません。他の国に頼まれたら、他の国にもあげなければならなくなります」 「じゃあ、神の国で手形が量産されちゃうんですかね。ふふ」 ゆりはその場面を想像してついおかしくなったので笑っていた。 「あなたの発想は一体どこからくるんですか」 「じゃあ教会には飾れないんですか?」 「それをヨハンと考えてはいたんですが……」 クーガはゆりに会いたいがためだけにきたわけではなかった。新しい教会の図面を書いているヨハンを連れてくるためにへびの国に来たのである。図面ができあがったので持ってきたのである。今南の街の教会は建て壊されてすでに平地にされている。 今そのヨハンは南の街で、教会の建て替えのための指示などを職人達に出している。その間クーガは城にやってきたのだった。 今二人は庭園で話していて、横にはシスもいる。シスは二人っきりの方がいいかと思い去って行こうとしたのだが、クーガに「いてください」と言われたのでいたのだった。 「考えてみると、龍の国にはもっとすごいものがあったしなあ……」 クーガはぼそぼそ言っていた。 「もっとすごいものって? 手形よりもすごいって、もしかして足? 龍の国にはハロルド様の足形とかあるんですか?」 ゆりは真面目に聞いていた。横で聞いていたシスはぶっと吹きだしている。 「……実はそうなんです」 クーガがなんと肯定したのでシスは「え?」と驚いていた。 「足より手の方がいいよねえ」 ゆりはシスに聞いている。 「冗談じゃなくて本当なんですか?」 シスが聞いた。 「正確には違いますが、それに似たものが……」 「……どこの型ですか?」 ゆりが聞いた。 「型から離れてください」 とクーガ。 (クーガ様、だんだんかあ様のペースにはまってるな) とシスは思っていた。 「有名な話なんで言いますが、実はハロルド様のサンダルがあるんですよ。8そくくらいだったかな」 「え? ハロルド様、龍の国に行っちゃ裸足で帰ってるんですか?」 「そうではなくて、ちょっとあなたには言いにくいんですが、昔の巫女に対する褒美のようなものでしょう。今はそういうことはないようなので」 「へー褒美ですか。なるほど」 ゆりはちょっと口を尖らせている。 「でも、私なら足じゃなくて手ですけどねえ」 「ハロルド様のサンダルって何かの力があったりするんですか?」 シスが聞いた。 「どうでしょうね。履くと早く走れたりするかもしれませんが、あちらでは恐れ多くてだれも履いてないと思いますよ。それで手の話ですが、どちらにせよ、あのまま飾るのはやめた方がいいですよ。盗まれるとことですから。 あれからさらに型取りができればいいんですがね」 「量産できますかね?」 とゆり。 「いっぱいあったらありがたみがないですよ」 「それもそうですね。じゃあ、各教会に一個とか。3個じゃ足りないからもっと増やそうかな」 「まだもらう気でいるんですか?」 「東西南北の教会に飾るなら、あと一個は欲しいですね」 「はあ……面白いお母さんですね」 クーガがシスに言っていた。 「はい」 (今後40年くらい母様と付き合ったら、クーガ様もハザーク様みたいになっちゃうのかな) なとどシスは思っていた。


