「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。 今宵限りの夢舞台なくも涙笑うも涙。 楽しいサーカスのご開演。」 赤い幕がまだ揺れてる 床に残る足あとが乾かない ピエロは笑ってるのに 視線だけは笑わずに私を見てる 出口の札は逆さま 帰る道はもうない? もう少しで終わるって 誰が言ったんだろう 拍手の中に 笑顔がひとつもない 終わらないサーカス 帰れないまま 終わらない演目を ただここで見てる 綱の上で風が鳴る 錆びた檻に月が落ちる 子どもの靴が片方だけ 椅子の下で眠っている 団長の指先は冷たい 背中に触れて、言葉みたいに 次の幕へ、次の幕へ まだ終わらないのかな 灯りは減って来たのに 胸の奥で 鐘がなり 冷汗が落ちる 終わらないサーカス 帰れないまま 拍手のない演目を ただここで見てる 「おやおやお目が高い。 こんな夜に迷い込むなんて運がいい。 さぁお代は結構。 最後までごゆるりと。」 テントの中は空っぽで 空っぽのまま朝になる それでも幕は降りずに 団長が笑うたび逃げ遅れる 近すぎる息に 冷汗が落ちる 終わらないサーカス 帰れないまま 誰もいない演目を ただここで見てる 「お帰りの時間? そこはご心配なく。 帰り道はございませんので…。」