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CHAOTIC BIND [混沌] #CF3E [STORY]

Cyber Force 3rd Evolution楽曲募集中 詳しくはこちらのURLを参照 https://suno.com/song/b7a0861c-96d3-4526-800b-38f88dc81ce9 混沌曲のプレイリストはこちら Vol.1 https://suno.com/playlist/7d4c3b67-4d3c-4538-a20d-f03ab313e6fe Vol.2 https://suno.com/song/3d281fd9-7751-4632-ac8e-3b550ce0e741  ストーリー一覧はこちら https://suno.com/playlist/66e4584c-2bd3-47e6-91fb-f42f804c4642 前回はこちら https://suno.com/s/kRPClCEQOUgVBRvC 《CHAOTIC BIND》 第二地点。 空間を覆うノイズの中で、ジトリックスは静かに立っていた。 正面には、人型のホコロビ。 黒い粘性体を無理やり人の形へ押し込めたような身体。肥大化した上半身と、不自然なほど長い四肢。 表面を覆う黒い組織は絶えず脈打ち、その内側では紫と黄緑の光が、壊れた信号のように明滅している。 顔には明確な目鼻がない。 ただ、深く裂けた口のような形だけが、笑っているように開いていた。 ジトリックス:「さっきから、見え方が変なんだけど」 周囲には、同じ姿がいくつも立っている。 一体。三体。七体。 数えるたびに輪郭がずれ、位置が入れ替わる。 分裂しているわけではない。 ジャマーによって視覚情報と観測信号を乱し、本体が複数存在するように見せかけている。 ディメンティア: 『第二地点の観測精度が低下しています。敵性反応を一体に特定できません』 ジトリックス:「うん。こっちでも全部同じに見える」 ディメンティア: 『援護演算を送ります』 ジトリックス:「大丈夫。少し試してみる」 黒い影の一体が動いた。 腕が伸びる。 肩から先が弾けるように長大化し、蛇のようにうねりながらジトリックスへ迫る。 ジトリックスは身体を傾け、伸びてきた拳をかわした。 だが、通過したはずの腕が空中で曲がる。 鞭のようにしなり、背後から再び襲いかかる。 ジトリックスの長い髪が動いた。 黄と紫の髪束が幾本にも分かれ、迫る腕へ絡みつく。 そのまま引き寄せる。 だが。 髪が捉えた黒い腕は、ノイズとなって崩れた。 偽物。 次の瞬間、別方向から伸びた脚が、ジトリックスの身体を大きく弾き飛ばした。 ジトリックス:「……なるほど」 空中で体勢を整え、地面へ着地する。 黒い人影が同時に動く。 無数の腕。無数の脚。 どれも異なる方向から、異なる軌道で迫ってくる。 そのすべてが本物に見える。 AXIOM: 『お前の認識は、すでに意味を失っている』 ジトリックス:「喋れるんだ」 AXIOM: 『我が名は、AXIOM』 ジトリックス:「アクシオム」 AXIOM: 『お前が何を見るか。何を選ぶか。何を真実と認識するか』 黒い輪郭が揺れる。 AXIOM: 『そのすべてを、私が定める』 四方から腕が伸びる。 ジトリックスは髪を展開し、次々と弾き返していく。 だが、反応するほど偽像が増える。 本物を狙えば偽物へ変わり。 偽物を無視すれば、そこから本物の攻撃が飛んでくる。 ジトリックス:「見分けるだけじゃ、駄目か」 ジトリックスは攻撃をかわしながら、周囲へ髪を広げていく。 一本ずつ狙うのではない。 戦場そのものを覆うように。 黄と紫の髪が地面を走り、壁を伝い、空中へ網を張る。 AXIOMの偽像が一斉に踏み込んだ。 その瞬間。 ジトリックス:「見えなくても、触れれば分かる」 髪が収縮する。 偽像は抵抗なく通り抜ける。 だが一体だけ。 黒い身体が、複数の髪束に絡め取られた。 AXIOM: 『……!』 ジトリックス:「そこ」 髪が腕と脚へ巻きつき、引き伸ばされた四肢を逆方向へ固定する。 AXIOMは身体を変形させ、拘束から抜けようとする。 だがジトリックスの髪もまた、相手の変化へ合わせて形を変える。 鞭となり。刃となり。網となり。 黒い身体を、逃げ場のない一点へ押し込んでいく。 ジトリックス:「キミだけが、形を変えられるわけじゃないよ」 黄と紫の光が収束する。 無数の髪が一斉にAXIOMの身体を貫いた。 黒い巨体へ亀裂が走る。 AXIOMの輪郭が崩れ、ノイズの粒子となって消滅した。 周囲に浮かんでいた偽像も、同時に消えていく。 ディメンティア: 『第二地点の敵性反応、消失しました』 ジトリックス:「終わったみたい」 だが、直後。 足元の空間が歪んだ。 黒い液体のようなものが、地面から噴き上がる。 それは急速に骨格を作り、筋肉を作り、長い四肢を形成していく。 裂けた口。紫と黄緑の光。 先ほどと同じ姿。 ジトリックス:「……また出てきた」 AXIOM: 『一度の消滅を、勝利と判断したか』 ジトリックス:「消えたら、普通は終わりだと思うけど」 AXIOM: 『我々に、終わりは存在しない』 再びジャマーが広がる。 AXIOMの姿が増殖し、戦場を埋め尽くしていく。 AXIOM: 『お前が私を消した事実も』 無数の影が、同時に腕を伸ばす。 AXIOM: 『すでに、私の一部となった』 二体目のAXIOMは、先ほどよりも速かった。 ジトリックスが髪を広げるより先に、伸びた腕が地面を叩き、衝撃で髪の網を崩す。 本体へ触れて見抜く方法も、すでに知られている。 ジトリックス:「ちゃんと覚えてるんだ」 AXIOM: 『同じ解答は、二度通用しない』 ジトリックス:「それは、こっちも同じ」 ジトリックスは髪を大きく広げなかった。 自分の周囲へ集め、身体に沿わせる。 黄と紫の髪束が腕と脚を覆い、装甲のように密着する。 AXIOMの拳が伸びる。 ジトリックスは正面から踏み込んだ。 伸びた腕を髪で受け流し、その表面を滑るように加速する。 AXIOMの本体へ向かって。 AXIOM: 『接近するほど、虚像との識別は困難になる』 ジトリックス:「見分ける必要はない」 無数のAXIOMが彼女を取り囲む。 ジトリックスは目を閉じた。 視覚。観測信号。 ジャマーによって乱される情報を、すべて切り離す。 代わりに。 髪を通して伝わる振動。 空気の流れ。 地面へ加わる重さ。 偽像には存在しない、小さな差だけを拾い上げる。 ジトリックス:「そこにいるね」 目を開く。 ジトリックスの髪が一本の巨大な槍へ変わり、何も存在しないように見える空間を貫いた。 直後。 偽装が崩れる。 AXIOMの本体が、槍に貫かれた状態で姿を現した。 AXIOM: 『なぜ……』 ジトリックス:「キミが見せたいものを見なければいいだけ」 槍が内部で分裂する。 無数の刃となり、AXIOMの身体を内側から切り裂いた。 二体目のAXIOMが崩壊する。 黒い粒子が宙へ散り、完全に消滅した。 ジトリックスは息を整えながら、消えた場所を見つめる。 ディメンティア: 『敵性反応の消失を確認』 ジトリックス:「今度こそ、終わったかな」 返答より先に。 空間が歪んだ。 先ほどよりも速く。 黒い粘性体が、再び人型を形成する。 同じ身体。同じ光。同じAXIOM。 三体目。 AXIOM: 『何度倒しても無駄だ』 ジトリックスは黙って、その姿を見る。 AXIOM: 『一つが消えれば、次が発生する』 AXIOM: 『お前が勝利するたび、私は再びAXIOMとして現れる』 黒い身体の輪郭が揺らぎ、再び無数の偽像が生まれていく。 AXIOM: 『世界に歪みが存在する限り』 AXIOM: 『我々の発生を止めることはできない』 ジトリックス:「……そういうことなんだ」 AXIOM: 『理解したか』 ジトリックス:「うん」 ジトリックスは自分の手を見る。 次に、身体を巡る黄と紫の光へ視線を移す。 倒す。消滅させる。 すると、新たなAXIOMが発生する。 何度攻略しても。 何度上回っても。 消滅させる限り、戦いは終わらない。 AXIOM: 『絶望したか』 ジトリックス:「逆」 髪がゆっくりと広がる。 だが、これまでのようにAXIOMへ向かって伸びてはいない。 戦場全体へ。 空間そのものへ。 黄と紫の光が染み込んでいく。 ジトリックス:「やっと分かった」 AXIOM: 『何を』 ジトリックス:「倒すから、次が出てくるんだね」 AXIOM: 『理解したところで、結果は変わらない』 ジトリックス:「変わるよ」 AXIOMの無数の腕が伸びる。 ジトリックスの髪も動く。 だが、互いの攻撃が衝突する直前。 距離が歪んだ。 AXIOMの腕が、伸ばしたはずの位置へ戻っている。 再び伸ばす。 再び戻る。 右へ動けば左から現れ。 前へ進めば、開始地点へ戻される。 ジャマーによって生み出された偽像も、増殖と消滅を繰り返しながら、同じ場所へ重なっていく。 AXIOM: 『何をした』 ジトリックス:「キミが終わらないなら」 黄と紫の光が、巨大な球状の領域を形成する。 ジトリックス:「終わらないまま、そこにいてもらう」 AXIOM: 『そのような制御は不可能だ』 ジトリックス:「整ってる必要なんてないよ」 領域の内部で、上下が反転する。 距離が意味を失う。 時間の流れが分岐し、進行と逆行を同時に繰り返す。 空間。座標。形。 AXIOMが利用していた認識の乱れそのものが、今度はAXIOMを閉じ込める檻へ変わっていく。 ジトリックス:「ここは、キミの理屈が決める場所じゃない」 ジトリックスは手を握る。 《CHAOTIC BIND》 混沌の領域が収縮した。 AXIOMの身体が内側へ引き込まれる。 伸びた四肢も。 無数の偽像も。 ジャマーによって拡散していたすべての反応も。 区別されることなく、一つの領域へ閉じ込められていく。 AXIOM: 『私を消さなければ、戦いは終わらない』 ジトリックス:「うん」 AXIOM: 『何度でも、私は――』 ジトリックス:「もう次のキミは出てこない」 AXIOM: 『……!』 ジトリックス:「キミが消えない限り、次が発生する場所も空かない」 AXIOM: 『そのような結論は、公理に反する』 ジトリックス:「ここでは、キミの公理は通用しないよ」 領域が完全に閉じる。 AXIOMの反応は消滅していない。 だが。 移動も。攻撃も。自壊も。消滅もできない。 存在したまま、終わりへ到達できない。 同時に、新たなAXIOMが発生する反応もなかった。 静寂が戻る。 ディメンティア: 『第二地点の高位反応を確認』 ジトリックス:「うん」 ディメンティア: 『消滅していません』 ジトリックス:「消してないからね」 僅かな間。 ディメンティアが、閉じられた領域を解析する。 ディメンティア: 『対象の存在を維持したまま、外部への干渉と消滅処理を封じています』 ジトリックス:「倒すと、次が出てくるみたいだから」 ディメンティア: 『発生枠そのものを、現在のAXIOMで占有したのですね』 ジトリックス:「たぶん、そういうこと」 自分の髪を見る。 黄と紫の髪は、意思へ応えるように静かに宙を泳いでいる。 鞭。槍。刃。網。装甲。 そして、混沌を閉じ込める領域。 ジトリックス:「ママ」 ディメンティア: 『はい』 ジトリックス:「この身体の使い方、ようやく分かったよ」 ディメンティア: 『現在の身体状態は安定しています。出力にも異常はありません』 ジトリックス:「うん。今なら、もっと上手く動かせる」 その直後。 遠方で空間が歪んだ。 一つではない。 複数の亀裂が開き、新たなホコロビ反応が次々と現れる。 ディメンティア: 『第二地点周辺に新たな反応。AXIOMとは異なる個体です』 ジトリックス:「確認した」 長い髪が大きく広がる。 今度は迷いなく。 それぞれの髪束が異なる方向を向き、新たな敵の位置を正確に捉える。 ディメンティア: 『継続戦闘は可能ですか』 ジトリックス:「問題ないよ」 黄色と紫の光が、ジトリックスの身体を包む。 ジトリックス:「次も、ジトが止める」 光が弾ける。 ジトリックスは新たに発生したホコロビへ向かい、一気に加速した。 ―――つづく https://suno.com/s/EndAv2VFMKGEdZUw