青白い光が ハンガーの床を 静かに撫でた 眠り続けていた 巨人の胸に ふたつの席が また灯る エクス・オルビス かつて 星の判決に 座った機体 いま 人の手で もう一度 目を覚ます カーサが モニターを見上げる ブレンダンが 腕を組み 黙って立つ アルカとエアは ふたつの席に 並んでいた 近い距離で けれど もう迷わない 距離で レーチェルは 記録端末を握り その近さを 少しだけ 気にしていた カーサの声が 静かに響く 右腕を上げて 握ってみて アルカは 息を整え 指を動かす 青い線が 機体を走り 巨人の腕が ゆっくり上がる 動いた ついに 動いた ただの鍵ではなく ただの器ではなく ふたりで座ることで 扉は開く エクス・オルビス反応 安定 マリの声が ブリッジを震わせた エアは アルカの横顔を見た 操作に だいぶ慣れてきましたね アルカ このくらいはね でも実戦になったら もっと 扱い慣れないと エアは ほんの少し 目を細めた 私とあなたがいれば 動きは安定しています 焦らなくても 大丈夫ですから アルカが ふと動きを止める エア 今 ちょっと笑った その一瞬だけ 同調率が揺れた カーサが 小さく息を吐く アルカ 同調率が乱れてるわよ 集中して 凍っていた声が 少しずつ 人の温度を知る 動かなかった表情が ほんの少し 柔らかくなる 戦うためだけの 起動ではない ふたりが 今ここにいる それだけで 機体は 静かに応えた カーサは 安定波形を見つめた ずっと 見たかった線だった グレンと追いかけた 答えだった けれど 隣に彼はいない 見てる グレン その声は ハンガーの低い唸りに 沈んだ ブレンダンも 機体を見上げていた アメリア 誰にも 聞かせるつもりのない声で 俺らの希望が ついに動いたぞ 成功の光は 眩しかった けれど そこには いない人の影が いくつも揺れていた 今日は このくらいにしておきましょう カーサの声で 停止シーケンスが始まる アルカとエアは コックピットを降りた 距離は近い 肩が触れそうで 触れない けれど 前より明らかに近い レーチェルは それを見ていた バイタルチェックします そう言って 彼女もまた 少し近づいた その奥で 別のハンガーが 火花を散らしていた 技術班が レガリアジャマーの外装を開き ケンソルの残骸から 取り出した部品を 組み込んでいく ルイスは 腕を組み 機体の前で笑う マーガレットは 少し離れた場所で ラクナを抱いたまま 黙って見ていた よお 少年とメカお嬢 見ろよ 神様の残骸と 俺っちのジャマーが 技術班の手で 融合中だぜ アルカは 組み上げ中の機体を見上げた まさか ケンソルのパーツを 使ってるのか ルイスは 笑って肩をすくめた 俺っちが 組んでるわけじゃねえよ けど 動かすのは俺っちだ 癖くらいは 見ておかねえとな エアの足が そこで止まった ケンソル その声は 先ほどまでより 少し低かった まさか エクス・ケンソル なのですか ルイスが 目を細める 知ってんのか エアは 組み上げ途中の機体を 見つめたまま答えた はい 監査と検閲を担う エクスシリーズです 少しの沈黙が ハンガーに落ちた 技術班の工具音だけが 遠くで鳴る エアは 当然のように 問いかけた パイロットは ルイスが 眉を寄せる パイロット レーチェルが 静かに答える コックピットは 空でした それは すでに確認されています エアの瞳が わずかに揺れた なら 彼は どこにいるのですか?