
[Intro] [Spoken] いらっしゃいませ、お客様 当バーはさまざまな Mania の集まる場所 どうぞお客様の性癖(せいへき)を 聞かせてください [Verse] [Spoken] ……なるほど それは今年は ずいぶん変わっている、と? [Pre-Chorus] [Whisper] ふふ ご安心ください [Verse] その程度でしたら ここでわずいぶん おとなしいほうでございます あちらのお席をご覧ください [Melodic Verse] 冷たいものに興奮(こうふん)する Psychrophilia 「氷が溶ける前が、いちばん美しいのだそうです」 彫像や人形に心奪われる Agalmatophilia 「動かぬものほど、美しく見えるそうですよ」 涙を流す姿に惹かれる Dacryphilia 「涙を流す女性ほど美しいものはない、と いつも熱心に語っておられます」 [Bridge] [Spoken] おや そちらには座られませんよう 椅子ではございません 人を調度品に変えることに興奮する Forniphilia 「あちらのお客様は今夜、椅子になることをご所望でして」 [Chorus] まだまだ かわいらしいものでございます 小さな虫が肌を這う感覚に惹かれる Formicophilia 「夏場はたいへん機嫌のよいお客様です」 機械に欲望を覚える Mechanophilia 「“愛車”という言葉を文字通り受け取るかたです」 汚れや不潔さに惹かれる Mysophilia 「磨いたグラスだけはお気に召さないようで」 匂いに欲望を覚える Olfactophilia 「香水など、無粋(ぶすい)だそうですよ」 靴に魅せられる Retifism 「お帰りの際は、左右ともお確かめください」 [Verse] [Spoken] ……おや 顔色が悪うございますね、お客様 では 少々強い酒にいたしましょう 眠りという無防備な姿に惹かれる Somnophilia 事故という非日常に魅入られる Symphorophilia 罪を犯した者に惹かれる Hybristophilia [Drop] [Silence] そして 当店でいちばん静かな常連客 生者には まるで興味がないそうで [Whisper] Necrophilia [Outro] [Spoken] ……おや グラスを置かれますか? ですがお客様 笑う必要も 怯える必要もございません 冷たさ 人形 涙 家具 虫 機械 汚れ 匂い 靴 眠り 罪 そして死 欲望というものは ずいぶん器用に 名前をもらうものでございます さて ここまで聞いてもまだ ご自分を「変わっている」と? 当バーでは その程度のManiaでしたら ストレートではなく 水割りくらいでございます もう一度お伺いいたしましょう [Spoken] いらっしゃいませ、お客様 今度こそ あなたの Mania を 聞かせてください

