
雨上がりの匂い 乾いた棚にひとつの色 崩れた髪の奥で細い光が息をする 指先でそっと触れたら 知らない温度が解けそう 鋏は閉じたまま木箱の影で眠ってる いつもの私なら迷わず形を変えたのに どこから来たの 誰を通ったの 答えを消すには綺麗すぎるから 今日はまだお揃いにしない その色をもう少し見せて 切らないまま ほどかないまま 知らないあなたを飾っていたい 糸はまだ 誰のものでもない だから今だけここにいて 抜かなかった指の跡 棚の向こうへ消えた足音 人形でもわたしでもない その隙間を見ていたひと 同じものを欲しがるより 同じ違いを見つめるなんて 少し可笑しくて 少しだけ 胸が鳴った 「もう少しだけ......」 知らないままの形まで 名前をつけずに集めたい 待っているこの時間さえ いつか綺麗に縫い込める 今日はまだお揃いにしない 残した距離もわたしにちょうだい 切らないまま ほどかないまま 知らないあなたを覚えていたい 糸はまだ 誰のものでもない その「まだ」さえ宝物になる Absolute Greed 急がなくても逃げはしない 違いも沈黙も 待つ時間も 最後には全部抱いてしまうから 今日はまだ...... 鋏は閉じたまま......

