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まぶたの過剰露光

V5.5

画面より先に 胸が鳴る 名前を見る前 息が止まる ポケットの中 手を握った 帰り道だけ 少し違う 人の流れ 背中を押す 足だけ少し 遅れてる 白い画面に 名前が浮かぶ まだ声も届かない 名前だった 説明の声 遠くになる うなずく顔が ガラスに映る 触れてもない その名前を 目だけがまだ 離せなかった 画面より先に 胸が鳴った 名前を見る前 息が止まった 触れてもいない その名前を 帰りの窓に 探していた 言えないままに 熱を持った ポケットの中 握り跡 流れる文字に 押されながら まばたきだけが 遅れていた 白いパネルが 次を照らす 人の肩越し 文字が揺れる わかったふりの 笑顔のまま ポケットの中 手を握った 大きな名前が 宙に浮かぶ 拍手の中で 息を忘れた 置いてかれる 靴音より 目を伏せたまま 歩けなかった 画面より先に 胸が鳴って 名前を見るたび 息が浅くて 知らないはずの その名前に 喉の奥だけ 熱を持った 空いたままで 温度を持つ 閉じた画面に 指が止まった 流れる文字に 押されながら 指の先だけ まだ震える 人混みの向こう 誰か笑う その声だけに 目が向いた 画面の外で 表情が揺れた その一秒で 足が止まった 画面より先に 胸が鳴ったから 名前を見る前 息が止まった あの笑い声が まだ残って 帰り道だけ 少し違う あいたままで 温度を持つ 曇った窓に 指を置いた あの一秒を 消さないように 次の画面を 開けずに行く ビル風がそっと 袖を抜ける 画面は暗く 伏せたままで まぶたに残る 白さだけ まだ灯りを 消していない