
風はまだ 名前を持たない 錆びついた羅針盤を ポケットの奥で鳴らして 昨日までの正解を 波間へそっと投げた 誰かが描いた地図では 辿り着けない場所がある 白紙の水平線だけが 僕を呼んでいた 失くしたものを数えるより 残った灯を信じたくて 無名航路 地図の外へ 風向きさえ分からなくても 無名航路 胸の奥の灯だけは まだ消えていないだろう 無名航路 夜を越えて 誰の物語でもない場所へ この手で漕ぎ出していく 高く積み上げられた 理想の影を追うより 足元を濡らしながら 今を選び続けたい 拍手も歓声もない 静かな夜だったとしても 確かに進む鼓動だけは 嘘をつかなかった 遠回りばかりでもいい この景色を見たかった 無名航路 星の向こう 答えなんてなくてもいい 無名航路 迷いながら進むことが 旅になるのなら 無名航路 朝焼けへと 滲む世界を抱きしめながら この先へ 選ばれた人じゃなくていい 英雄になれなくてもいい それでも風を受けるたび 生きていると思えた 崩れそうな夜ほど 空は綺麗だった 無名航路 地図の外へ どこにも載らない未来へ 無名航路 胸の奥の灯だけは 消さないまま 無名航路 夜明けの先 まだ知らない景色を探して 僕らは進んでいく 何度でも 何度でも 水平線の向こう まだ続いている


