
パンコウボ 🍞 白いパンが 浮かんでいる 夏よりも高い空 バス一台分の 社会見学 外の景色に 飽きた頃 大きな敷地で バスが止まる 軽やかな 甘い匂いが 鼻の奥を 通りすぎた 忙しく動く フォークリフト オレンジ色のシャッターが 大きく開いて すぐ 閉じる 先生の声で 建物に入る 白い帽子の 本間さん パンの話を してくれた 先生以外の 大人の話 食パン用の 長い型 生きたパンコウボで 膨らむから 生地は 上まで 入れない パンコウボ パンコウボ クラスみんなで 生地の中 力を合わせて 膨らむ 私たちは パンコウボ 膨らんだ生地 パンを焼く釜 すすけた釜 窓越しの熱が 顔を照らす あたりはずっと パンの匂い パンコウボ パンコウボ 焼かれてしまった パンコウボ オレンジ色の 扇風機の前 焼かれたパンが 並んでいる 足の裏が 疲れてきた頃 中の人が 大きな手袋のまま 手を振ってくれた 私も 小さく 手を振った 焼きたての 大きなパンが 床に一つ 落ちていた だれかが 落ちたパンは どうなるのか 聞いた 本間さんの マスクが動いた みんな 黙って 見上げていた 帰りに できたてのパンを もらった 開いたままの袋を 落とさないように パンの匂いごと 閉じ込めた 帰りのバス 袋のパンは 濡れていた

