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Ghost (Japanese Edition)

廃線のホームで 風にめくられた古いメモ 雨にうたれ にじんだ文字は 「ここにいたよ」とだけ書いてある まるで 私を見つけてと乞うように 街はもう名前を失くし 道も深い草に埋もれている なのに すれ違う空気のどこかで あなたの体温がまだ揺れていて 私は思わず 足を止めた 静けさの向こうから 雨の匂いにまぎれて あなたの小さな声が 私の胸の奥に 灯りをともす 世界が灰になっても あの日のララバイは消えない 幾百の季節をまたいで いま、私に届いたよ 誰かと奪い合うためのコロニーを抜け出して たった一人で 凍える荒野を歩いてきた 「立ち入り禁止」の錆びた文字 厳重な鎖を越えて 重たい霧を払い 私が迷い込んだのは 一夜にしてすべてが始まった 最初の崩壊の跡 息をのむ私の前に 広がっていたのは 光溢れる廃墟 残酷なほどに美しく 世界を赦すように輝いてた ここなら息ができる 追われるように生きてきた私に あなたが「おかえり」と 言っているような気がしたんだ 錆びついた線路をたどれば 誰もいない理科室や 崩れた図書館が浮かぶ 会ったこともないあなたの言葉が はぐれた羽のように優しく 霧の中で 私の行く道を指さしている ねえ、一人で怖くはなかったですか それとも、未来を信じて強かったのですか ボロボロの紙切れに遺された かすれた「ここにいたよ」の6文字が 今を生きる私を こんなにも支えてる 静寂に あなたの残像を探す 時を超えて届いたあなたのララバイ この過酷な世界の始まりに こんなにも優しい光があった この光がわたしのアンカーとなり わたしの心にあなたが静かに宿る 静寂に 大声で返事をするように 私はあなたのララバイを口ずさむ 交わるはずのない二つの人生が 廃墟の空で 確かに重なっていく あなたが遺してくれた小さな光を 私がきっと、次の朝へ運ぶから あなたの街が眠りについた場所から 私の街の、新しい夜明けへ ――届いていますか 「私も、ここにいるよ」